全英連参加者のブログ

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Cテスト

2013-06-16 05:24:39 | 気になる 大学研究

 センター試験見直しも
 高校在学中に複数回受験できる全国共通の「達成度テスト」の導入を検討。

 第一報は日経(6/6)

 政府の教育再生実行会議が6日、大学入試改革について議論開始。
 「大学入試センター試験のような一発勝負でなく、高校生の学力をていねいに測る試験を検討すべき」

 「達成度テスト」は高校で学ぶ基本的な知識や思考力を広くみるもの。
 同様の案はすでに自民党や中央教育審議会でも議論されている。自民党教育再生実行本部が5月の提言で示した案では、『複数回実施』、『生徒は成績を志望大学に提出』、『大学側は独自の試験と合わせて合否を判定する』などとしている。
 実行会議はこうした案を踏まえて具体的な制度を検討し、9月をめどに安倍晋三首相に提言する。

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 最初にこのニュースを聞いたとき考えたこと。それは、制度設計がすべてということだ。後追い記事を10日ほど待ったが、あまり分析記事は見つからない。そろそろ自分で感じた疑問点や、職場で同僚と話し合って感じたことを書いてみようと思う。
 おおよそ以下の三つがキーワード(で、いいのかな)、話題になったことだ。

 〇実施学年(実施時期)は?
 〇「達成度」の具体的な定義づけは?
 ■問題の作り方、出題傾向は?
 ■試験は1種類? 国公立ならA試験、そうでなければB試験?
  ・・・まさかね。
 〇浪人生等への対応は?

 誰が受験するか、もしくは受験できるかを決めなくてはならない。大学受験は現在のところ、実質的に高校卒業後または、高校卒業見込みの18歳以上の者が対象である。でも、飛び級入学のことも考えれば、、、? わからないぞ。
 もしも現在と同じようにするならば、対象学年と実施時期はこんな風になるか。

 高校2年修了時(または2年2学期修了時:現在のセンター試験の時期)
 高校3年1学期修了時(夏休み中)
 高校3年2学期修了時(現在のセンター試験の時期前後)

 高校在学中3回程度。1年修了時などで、「達成度」といっても、説得力に欠ける。そもそも学習指導要領の内容のうち、まだ勉強していない科目も多い。2年修了より前は、現実的でない。

 そんなことを考えた。

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 以下は同僚(複数)との話し合いの中で感じたことをまとめている。

 「達成度テスト」という以上、高校の学習指導要領が求める学習内容を、より多く深く学んだということを数値化しなくてはならない。3回目が一番受験生が多いセンター試験になるのではないか。

 単純に考えれば、実施時期が卒業近くの試験ほど点数が取れる可能性が高くなる。もちろん早い時期から、能力、この場合は「達成度」が高い生徒もいる。そうでない生徒もいる。「達成度」が高い生徒が多い学校も、そうでない学校もそれぞれ間違いなく存在する。実施形態、会場はどうするか。

 飛び級制度を用いて大学に進むことを考える生徒にも、「達成度」を見る試験の受験を義務づけてしまうと、結果的に「達成度」が低い生徒を飛び級で入学させることになる可能性がある。なんだか変である。飛び級はあくまでもexceptional、giftedの生徒。制度設計は大多数の生徒の達成度をきちんと見るものでなくてはいけない。飛び級の生徒には、それなりの試験をする。それができないならば、飛び入学なんて止めた方がいいんじゃないか。

 実施時期がどうなるにせよ、「達成度テスト」で何を問うかにより、高校の学習活動は大きな影響を受ける。学校生活が学習ばかりになるというような話しも出ていたが、一概にそうとも言えない。そうだとも言えるけど... いずれにしても、仮に2年生時から受験できるようにするならば、それに合わせた教育課程を作らざるを得ないことのほうが、ずっと問題、深刻である。科目の学年配置。授業の順番の検討など、しなくちゃいけないことは山盛りである。
 国公立大学に一定の数の進学者を出している高校は、対応できないという選択肢はない。一方、国公立が進学のメインではない学校、専門高校、普通科だけど私立大学への進学者が多い学校、進学そのものが少ない or ごくわずかの学校。それぞれどう対応すべきか。相当悩ましいことになる。

 まさか、『進路希望先により複数の難易度の試験を実施』なんてことは、ないだろうな。

 『受験生にセンター試験との二重負担を求めるべきではない』という意見もある。「達成度テスト」と「センター試験」が並立できるか、センター試験を縮小・廃止する必要があるかも議論されるそうだ。ただ、大学入試センターの機能は何らかの組織が引き継がざるを得ない。センターはセンター試験屋だけではない。それ以外の仕事もある。大学評価・学位授与機構と統合ではどうか。

 受験ということをいうと、世の中の人から見落とされることがある。それは高卒認定(の試験内容、合格者)と、浪人生のことである。特に高卒認定試験は、『高等学校卒業程度認定試験は、様々な理由で、高等学校を卒業できなかった者等の学習成果を適切に評価し、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうかを認定するための試験です。合格者は大学・短大・専門学校の受験資格が与えられます。また、高等学校卒業者と同等以上の学力がある者として認定され、就職、資格試験等に活用することができます。』という位置づけである。これは、文部科学省ウェブサイト、高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)に書かれていることだ。『学力があるもの』が『到達度テスト』のどこかに相当するとする場合、『同等以上の学力』は何をもってそうだというのかということも、見直さざるを得ないのではないか。
 ちなみに、高校教育に関わることは、文部科学省初等中等教育局、大学教育は高等教育局、高卒認定は生涯学習政策局の所管である。大学入試センターは、現在は独立行政法人である。相互連絡は密にするべきだ。

 考えるべきことは、疑問に感じたことはこれだけある。詳細が見えてくれば、さらに疑問点は逆に増えるだろう。
 平成25年度から移行期の高等学校新学習指導要領。全日制課程での完成年度は平成27年度末である。センター試験がこの新課程に対応するのは平成28年1月の入試からである。その後2年程度で「達成度テスト」を実施(移行)となると、教育課程をどうするか、科目配置、授業運営上をすぐにでも考えはじめないといけなくなる。9月にどんな提言が出るか。かなり注目すべきである。


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