全英連参加者のブログ

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私大経営破綻に備えた動き

2005-11-26 06:18:40 | 気になる 大学研究

 『私大「再生研究会」』の発足について、11月17日に日経に記事が出ていた。

 それによると、日本私立学校振興・共済事業団は経営環境が厳しさを増している私立大学について、学生保護のための「破綻保険制度」創設などを含む、破綻処理策を検討することになったらしい。
 破綻する大学があるという前提で準備をする。ひとまずいいことだと思う。

 山形県の酒田短大、宮城県の東北文化学園大、山口県の萩国際大と、いろいろな原因で経営が破綻した。そのたびに、世の中の何とも言えない不信感、猜疑心が大学に向けられていた。経営破綻は起きてほしくはない。でも、お客である高校生が減少していく中で、社会人を入学させたところで絶対数はそれほど多くないのだから、大学は今の数は残らないことくらい誰でもわかることだと思う。高校の教師として生徒の進路相談などに乗る立場からすると、大学の人気不人気はあっても、生徒が進学した大学がなくなってしまうのはやはり気分がいいものではない。寝覚めがよくない。でも、もしものことがあったら、せめて卒業まではちゃんとしてほしいと思う。そのシステムの完成は-残念だけど-早くお願いしたい。

 有識者による研究会は「学校法人活性化・再生研究会」という名前で、24日に初会合を開き、来年6月をめどに中間報告をまとめるらしい。
 …かなり急ぎの仕事だ。

 研究会の構成メンバーは私大経営者・公認会計士・弁護士ら22人。
 …清成忠男・前法政大総長が座長
 …委員には渡辺正太郎・経済同友会副代表幹事、石弘光・前一橋大学長ら。
 …文部科学省も運営を支援(現行の法律だけでは対処できない、文科省が一枚かむのは当たり前)

 検討項目は多岐にわたるが中心は破綻処理。破綻処理の主眼は学生の学習権保護だと思う。このために破綻保険制度を考えることになる。
 …銀行界の預金保険機構のように各私大が拠出した資金をプール。
 …特定私大が破綻状態に陥り、学生の受け皿大学が見つからない場合に、全学生が卒業するまでの運転資金を提供する。
 …研究会で具体的な制度設計などを議論する。

 破綻私大の教職員を救済する仕組みや、破綻に備えた「危機管理マニュアル」の作成もテーマになる見通しのようだ。もちろん、教職員(特に事務方)の生活も大事である。僕の印象だと、ある程度の業績のある先生なら異動先もあるとは思うけど、事務方はなかなかそうはいかない。

*****

 来年6月をめどに中間報告をまとめるとかいっているが、もっと急がないとだめなんじゃなかろうか。
 中間報告に基づき最終報告がいつでるかが問題だ。報告に基づき関連法案を作成、それを'07年1月通常国会で審議。上手くいけば'06年度内成立。平成19年(2007年)4月以降制度が適用できる。できないと、全入時代の4月、相前後して経営が傾くか倒れる大学が必ず出てくる。
 個人的なことだが、その4月、僕が現在受け持っている高校2年生が大学生になる。

 拙速は避けてほしいが、時間はそんなにない。早くしていただきたい。 


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