浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

テオ・ヴァン・デル・パによるショパン協奏曲第2番

2008年06月01日 | 洋琴弾き
テオ・ヴァン・デル・パといふ洋琴家がメンゲルベルクとショパンの協奏曲第2番を演奏したライブ録音が断片的ではあるが残されてゐる。1943年4月9日、アムステルダムでの演奏と記されてゐる。

ヴァン・デル・パの洋琴を味わうのなら第2楽章がいいだらう。第1楽章はメンゲルベルクの力強いメリハリの効いた表現に圧倒されてしまひ、洋琴独奏の印象は多分残らないと思ふからだ。第2楽章では和蘭きってのショパン弾きらしくたっぷりとショパンの単旋律を歌い上げてゐる。しかし、その歌いまわしは現代に通じる新時代人のもので、弱音の美しさにも前世紀の浪漫を感じ取ることは敵はない。

続く第3楽章は第1楽章よりも聴ける部分が少なく、とても残念だが、突然「あっかるい脳みそ」が登場する有名なあのピカルディとそれに続く意味不明のアルペンホルン風の起床ラッパの部分は聴くことができる。メンゲルベルクは意外にもこのピカルディをあっさりと止めてゐて、僕としては曲の不出来な部分をことさら強調しないこのやり方に大いに賛同する。

メンゲルベルク・エディションの第8巻の当CDではカットが多く全部で23分しか納められてゐないが、10枚組のアルバムには第3楽章の全曲が入ってゐるらしいので買い直す必要がある。余談だが、当CDにカップリングされてゐるMarinus Flipseとかいふ洋琴弾きのリストは面白くない(味も無いし、技術も無いと思ふ)。

盤は、英國Archive Documentsによる復刻CD ADCD114。


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