浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ワインガルトナーによるベートーヴェン 交響曲第5番

2010年10月20日 | 指揮者
世紀の大指揮者ワインガルトナーによるベートーヴェンの第5交響曲を初めて聴いてゐる。なにか物足りない演奏である。第1楽章は特に不評だった(我が家で)。

第1楽章再現部の第1主題動機を聞いて、2小節目と4章節目の長さの違いの意味について考えさせられた。僕が知っていたものとは全く別の新しい知見があった。1930年代といえば親父の生まれた時代である。その時代にこのやうな解釈があったといふ事実を知った。第2楽章に見られるフレーズの終結を強調するリタルダンドは心地よいが、第3変奏あたりから何か不愉快なものを感じる。第3楽章から第4楽章にかけては、なんでもない簡単なアンサンブルが乱れ、大雑把な印象を受けた。

全体を聴き終えて、これが大指揮者の残してくれた遺産なのかと思ふと何か物足りなさを感じる。また、Memoriesとかいふメーカーの復刻の酷さも相当なもので、益々印象が悪い。此の全集モノを購入した人は、皆さん、復刻技術に関してはさぞがっかりしたことだらう。

盤は、伊太利亜MemoriesによるSP復刻CD MR3028/34。


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