浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ロバート・ショウ合唱團 “Sea Shanties”に聴く海の男の浪漫

2006年10月02日 | 歌もの
ロバート・ショウ合唱團のレコヲドが僕のコレクションにはいくつかある。これらはすべて、グリークラブの指揮者をしてゐた親父のコレクションを譲り受けたためで、自分で蒐集して聴いてゐるわけではない。グリーの演奏は僕よりもむしろ嫁さんの方が気に入ってゐて、震災後のLP大量処分の際に生き残ったのも、嫁さんの一言があったからである。

別荘の音楽室で、久しぶりに嫁さんと懐かしいLPを引っ張り出して、米国の古き佳き時代を聴いてゐる。“Sea Shanties”とは「海の男たちの歌」といふ意味になるだろうか。ほとんどは無伴奏で歌われてゐるが、ソロやギター伴奏などの変化が加わり、16曲もあっといふ間に終わってしまった。

"The Drummer and the Cook"では、結婚行進曲のギター伴奏に乗って歌われる一種のパロディーのやうなものもあるのだが、どの曲も男声合唱のシンフォニックで重厚な響きに圧倒される。懸命に帆を引く歌、錨を上げる歌、友との別れの歌、遠い恋人を想う歌。どの曲からも広大な海と男の浪漫が感じられる。

米国には軽薄なヤンキーの文化もあるが、このやうな米国独自に創り上げられた新しい音楽文化があることを忘れてはいけないなぁ、と思った。輸入キャンデー、シナモンや黒すぐり、百貨店の香水売り場などの香り、それと懐かしい音楽に出会うと、40年以上前の米国での生活が、懐かしい活動画のやうに、断片的にではあるが突然に蘇ってくるのだ。

盤は、米国RCAのLP盤 LM2551。


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