浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

エイミー・マリー・ロジェ=ミクロスといふ伝説の女流洋琴家

2009年07月24日 | 洋琴弾き
エイミー・マリー・ロジェ=ミクロスが1905年にフォノティピア残した録音が簡単に手に入るやうになった。今日は久しぶりに仕事が休みだったので、畑仕事に精を出した後はミクロスの演奏をじっくりと聴くことができた。

1860年生まれといふから、ローゼンタールやダルベール等のリストの弟子達と同年代の洋琴家である。13歳のときに巴里音楽院に移り、アンリ・ヘルツに就き、17歳で1等賞を取った。ミクロスのプレイエルへのこだわりは相当なものだったやうで、プレイエルの使用を禁止したラムルー管絃團とは後々まで協演しなかったといふ。その後、独逸ツアーではライプツィッヒの評論屋から「ヴィルトゥオージティ、力強さ、人を惹きつける力はテレサ・カレーニョにも匹敵する」と絶賛され人気を博した。

この録音はその10年後、ミクロスが45歳といふ油の乗った時期のもので、ショパン、リスト、メンデルスゾーンなどの8タイトルを愉しむことができる。ショパンの作品64の2つのワルツは自由奔放でありながら情緒豊かな演奏で、一度聴くと虜になってしまふ。僕が特に気に入ったのはゴーダールのマズルカである。

パラパラときれいに分離されたアルペジオの美しさや、踊りだしたくなるやうなリズム感や間の取り方に魅了されてしまった。僕が生まれる少し前まで存命だったやうだが、録音が多く残されてゐるやうな話は聞かない。残念だ。

盤は、仏蘭西TahraによるSP復刻CD TAH-653。


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