浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

もう一つの「メンコン」二短調をメニューヒンの演奏で

2009年12月18日 | 提琴弾き
シューマンの提琴協奏曲はクーレンカンプが初演し、世界は発見を喜んだ。その後1951年に、メニューヒンはメンデルスゾーンのもう一つの提琴協奏曲を発見したが世界は此の発見をそれほど喜ばなかった。その理由は何か、メニューヒンの演奏で確かめてみることにした。

メンデルスゾーンは大変な多作家であり、勉強家でもあった。過去の時代の作品を徹底的に分析し、発掘して演奏したり、模倣して手法を自作品に取り入れたりと、音楽史上、大変重要な音楽家であったことは誰もが否定しない。しかし、此の協奏曲もそうだが、いつの時代の作品か分からないやうな習作的な作品が結構多いやうに思ふ。

別に此の作品が発見されたからといってメンデルスゾーンの評価が変わるやうなものでもない。「メンコン」は1つしかないから「メンコン」なのであって、二短調があれば第2協奏曲といふことになる。交響曲「伊太利亜」が今でも第4番なのは、絃樂の交響曲をカウントしてゐないからである。同様に此の二短調協奏曲も絃樂伴奏といふ理由で今後もカウントせずにおくのが良い。今後も無視され続けるだらう。

多作でありながらモーツァルトのやうに天才的な即興作家ではない。ブルックナーまではいかないが多くの推敲を重ねながら名作が生まれていくタイプなのかも知れない。推敲を重ねなかった作品はどこかで聴いたことのあるやうな、記憶に残らないどうでもよい作品が多い。

メンデルスゾーン研究については我が國にも熱心で優秀な学者が居るので、今後、ますます多くの事が解明されてゐくのだらう。が、シューマンの提琴協奏曲の如き世界が歓喜する名作が発見されることはあまり期待できないやうな気がする。

演奏は発見者であるメニューヒンの独奏及び指揮、RCAビクター管絃團。
盤は、Membran MusicによるリマスタリングCD  232098/40 CD040。


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