浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

エリカ・モリーニ ノスタルジックなスプリング・ソナタ

2006年12月02日 | 提琴弾き
モリーニが大暴れをしてゐるやうに聴こえるのは伴奏者シュヴァルブとの息が合わないせいだらう。スプリング・ソナタの第1楽章はそういった不揃いが目立つ演奏だが、モリーニがどのやうに表現したかったのかは非常によく分かる。

このレコヲドの真骨頂はむしろ第2楽章だらう。モリーニがこんな風にポルタメントをたっぷりとかけて弾いてゐるのは聴いたことがない。23歳の若いモリーニの演奏には戦後の洗練された音楽とは一味異なる趣きを聴くことができて楽しい。

モリーニの味わいのある伸びやかな音色を楽しむには第4楽章がいい。終楽章にきて初めてモリーニらしい演奏に接する安堵感を感じたのは僕だけだらうか。それにしても、マイク位置のせいか、洋琴が随分と奥に引っ込んでいて、洋琴が主題を演奏する部分でも提琴の対旋律が堂々と表に出てしまうのはもったいない。

盤は、米國DOREIのSP復刻CD DHR-7783(原盤はHMV D499/500)。


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