温故知新~温新知故?

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語学の天才まで1億光年 読了 〜ボミタバ語 シャン語 ワ語って知っている?〜

2023-01-09 20:26:58 | 
この本は、いつものように朝日新聞の書評を読んで面白そうと思って、予約し、年末に順番が回ってきた。
「語学の天才まで1億光年」 [著]高野秀行  著者の高野秀行氏は辺境をテーマに旅する探検家・作家だ。20代の頃、アフリカのコンゴの奥地で幻獣「ムベンべ」を探し、ミャンマーでは北部の麻薬地帯「ゴールデン・トライアングル」に潜入。反政府ゲリラ組織でケシ栽培を体験し、『ビルマ・アヘン王国潜入記』を著した。本書はその彼が探検家としての豪快な歩みの中で、数々の言語をいかに習得し、使ってきたかを描いている。
言語習得というと硬い印象を持つかもしれないが、そこは「エンターテインメント・ノンフィクション」の分野を切り拓(ひら)いてきた高野氏のこと。本書にも世界に対する探究心やユーモアが渦になって溶け合い、その世界に引きずり込まれていく魅力があった。ムベンベの探索では現地の「リンガラ語」や「ボミタバ語」で住人にウケまくり、タイではビルマ語を学びながら、少数民族の独立運動にじわじわ入り込む。聞き取りやすいスペイン語を整然とした平安京の街並みに例えて解説するなど、様々な言語に対する深い洞察にも唸(うな)らされる。
現地の生きた言葉をあっと驚く学習法で血肉化し、その構造を謎解きのように分析する過程はまさに探検そのもの。そんななか、言語の学習と実践を通して、わらしべ長者の如(ごと)く物事の奥深くに進んでいく様子に、何度も度肝を抜かれずにはいられなかった。また、本書に登場する先生たちも個性的な人物ばかりで、思わず笑みがこぼれるエピソードが満載。悩み多き探検家のちょっとほろ苦い青春放浪記という趣もあり、とにかく盛りだくさんの読みごたえがあるのだった。
高野氏は言語習得を「RPGの魔法の剣」と呼ぶ。この言葉通り一つの「魔法の剣」で思わぬ扉が開かれるとき、目の前の困難な世界が色合いを持ち始める。笑いあり涙ありの鮮やかな筆致に触れるうち、次第に読者である自分が解き放たれていくように感じた。
内容としては、私はフランスの企業やアメリカ、イギリス、中国、ドイツの会社との共同開発業務の経験があり、英語以外にもフランス語やドイツ語圏の会社との外国語でのコミュニケーションの経験があり、特に英語圏以外のフランスや中国との共同開発の際に、フランスでは、おもった通りのものを食べたい、中国とは彼らの独特な文化というか中華思想のもとはなんなんだろうと興味を持った経験から、この本は面白そうだと思ったのだ。
よって、外国語を学ぶには何がキーなのかが書いてあることを期待していた。しかし、その期待はかなり裏切られたが、内容はリンガラ語、ボミタバ語、シャン語、ワ語など、聞いたことがない言語が次から次へと出てきて、もっと濃い話なので、興味深く読めた。その他にもタイ語や、中国語などについても著者の経験が語られている。
中でも一番、興味を持ったのは、この本の中に出てくる以下の比較言語学系統図のようなものでわかるように、言語とはいろいろな語群や族や派がいっぱいあり、フランス語、イタリア語、スペイン語はインド・ヨーロッパ語族のイタリック語派、ロマンス諸語に分類され、英語はインド・ヨーロッパ語族なのだが、ゲルマン語派の西ゲルマン語群にオランダ語とともに分類されるということだ。英語って、比較言語学的にはドイツ語の仲間なんですね。ドイツ語と英語はずいぶん違うと思うけどね。

そして、この本の著者は、この本を読むなで知らなかったけど、色々興味深い本を書いてる人なんですね。その著者は、言語を学ぶ際に大事な点をいくつかあげていた。まず、先生は日本人ではなく現地人にならうべきだということ、そして、二重録音学習法、物真似学習法、言葉を話すときの「ノリ」など、現地人から習うことで発音を正しくかつ、会話するときの「ノリ」まで含んだ活きた言語を習うのが大事だとのことだ。また、話したいことがあれば、ネイティブでない他の言語は話せるということだ。これは私も同感である。私は、フランスとの仕事の際は、食事の際には困ることなく、思った通りのものを食べるというモチベーションのおかげでレストランでは困らないだけの初歩のフランス語力が身についた。
YouTubeの動画も見つけました。
高野秀行『語学の天才まで1億光年』紹介動画
著者へのインタビューが紹介されているサイトも見つけました。
現地でリアルに使用する現実の言葉を習いたい ーー高野さんが海外の現地の言葉を覚えようと思ったのはいつですか?
高野 やはり大学時代にコンゴに行ったときですね。リンガラ語に出会ったことで、現地の言葉も覚えようとしたら覚えられるというのも知りました。
ーー高野さんは新しい語学は「RPGゲームの魔法の剣」であり、「探検」のようだとも言われています。もちろんその一面はありますが、私は高野さんが新しい語学を学ぶ目的は、新しい外国人と話し、親しくなること(ウケること)、大きな言葉で言えば「人類愛」のようなものにもあると感じました。そのあたりを高野さんはどう思われますか?
高野 新言語を学ぶ目的は、大げさにいうと、ファーストコンタクトですよね。自分にとって異文化の人は、異星人のようにも感じます。その人とどういう風にコミュニケーションをとって心を伝え合うかっていうのは、やっぱりすごく面白いことで、一番の方法が言語です。
その言語も、本には繰り返し書いてますが「情報を伝える言語」「親しくなるための言語」の2種類があります。これらも今回、頭の中を整理して、自分がそんな風に使い分けていることに気づいたんですけどね。
その他アマゾンの本書の紹介記事。
語学は魔法の剣! 学んだ言語は25以上!の辺境ノンフィクション作家による、超ド級・語学青春記。 自身の「言語体験」に基づき、「言語」を深く楽しく考察。自動翻訳時代の語学の意味を問う。
さらにネイティヴに習う、テキストを自作するなどユニークな学習法も披露。語学上達のためのヒントが満載。
そしてコンゴの怪獣やアマゾンの幻覚剤探し、アヘン栽培体験などの仰天エピソードにおける語学についても語られる。『幻獣ムベンベを追え』から『アヘン王国潜入記』まで、高野作品の舞台裏も次々と登場。

インドで身ぐるみはがされたせいで、英語が上達、暗黒舞踏家のフランス人女性に生きたフランス語を学び、コンゴでリンガラ語を話してウケまくる。
コンゴでの「語学ビッグバン」体験により、語学の面白さに目覚め、以後、現地を訪れる際に必ずその言語を学ぶ言語オタクと化した著者。
辺境の言語で辞書もテキストもない場合は、ネイティヴを探して学び、文法の法則は自分で見つける。
現地で適当に振り回すと、開かずの扉が開くこともある語学は「魔法の剣」だという著者。地域や人々を深く知る上で、語学がいかに有効な手段であるかも綴られる。
著者自作の地図や図版を多数掲載。各国、民族の言語観や、言語同士の相関をわかりやすく解説。知的好奇心が満たされるとともに、破天荒で自由な著者の青春記を堪能できる一冊。 言語愛あふれるエピローグも感動的。

最後にいつものようにキーワードを紹介。
ー 比較言語学において共通祖語(共通の祖先)、語族や語群がある
ー 「ムサシノ=ムシャシノ=ウエストバック」パパウェンパのバンドがウェストバックをアフリカに広めた、その後ザイコランガランガというばんどもそれに続いた。
ー 前近代社会に挨拶語はいらない。マイナーな語族の言語には挨拶後がないそうだ。小さなコミュニティでは挨拶は必要ない。挨拶後は、近代社会で形式的な用途の言葉。
ー 話したいことがあれば話せる
ー 二重録音学習法、物真似学習法が有効。
ー 言葉を話すときの「ノリ」や方言差を利用したジョークが現地に人と仲良くなって、言語習得に有効。現地の人と交わることが大事。
ー ザイールとコンゴの違い
ー リンガラ語には文字がない 少数派の言語には文字のないものが多い。ボミタバ語 シャン語 ワ語
ー 麻薬王クンサー。そもそも、著者の夢はアヘンを作ることだった。
ー コンゴの言語は3階建て。詳細は本で読んでください。
面白い本でした。

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