温故知新~温新知故?

音楽ネタが多いだろうけど、ネタのキーワードは、古きを訪ねて新しきを知ると同時に新しきを訪ねて古きを知るも!!

KGBの男読了

2020-11-15 14:15:41 | 

KGBの男-冷戦史上最大の二重スパイ (単行本) | ベン・マッキンタイアー, 小林 朋則 |本 | 通販 | Amazon
核戦争を回避させた老スパイは現在、英国で24時間警護を受けながら、名前も身分も偽った孤独な生活を送っている。ゴルジエフスキー本人のインタビューとMI6で工作に関わった面々の証言から、大胆にして危険極まりない諜報半生を辿る。

KGBの男を読了した。以下のアマゾンのレビューでも好評のようですが、私も面白かった。
HATO
5つ星のうち5.0
サスペンスとしては。けた外れの面白いです
先を急いで読みたくなる筋立てと。結末の意外な展開に驚かされました。
C3P3
5つ星のうち5.0
抜群におもしろい。
新聞の書評を見て購入しました。購入してから数ヶ月間本棚に積んだままにしていたのですが、それは全くの間違いで、積んだままにしていたことを後悔しました。抜群におもしろい本で、Amazonから届いたらすぐにページをめくってみるべきでした。薄い本ではないですが、一気に読んでしまいました。訳もこなれており、たいへん読みやすかったです。
江崎公二
5つ星のうち5.0 スリル満点
国際政治の真っ只中、冷戦の緊張感、それを緩める働きとなった影の存在。感動しました。

どなたかも書いていますが、下の朝日新聞の書評で知って、図書館に予約を入れ、割とすぐに借りることができました。
(書評)『KGBの男 冷戦史上最大の二重スパイ』 ベン・マッキンタイアー〈著〉:朝日新聞デジタル
■核攻撃の不安を伝え西側が反応
 ソ連の社会主義体制が崩壊した時、KGB(国家保安委員会)の元職員らが退職者の会を作り、西側メディアに自らの体験を一斉に語ったことがある。長年の功績にもかかわらず年金もつかない仕打ちに怒ったのだ。

内容はゴルジエフスキーというKGBのスパイが、KGBについてあるいは共産主義に対して、ベルリンの壁崩壊を機に、疑問を持ちイギリスの2重スパイとして活動する。そしてあるときKGBに秘密がばれて、モスクワに拘束されるのだが、綿密な計画のもとフィンランド経由でイギリスに脱出し、亡命するという内容だ。
何が面白いかというと、まず、ミッションインポシブルなどの映画でお馴染みの尾行を巻く方法や、必要な情報をばれないようにどう偶然を装いながら実行する描写が、フィクションでなく現実として語られている点だ。ドキドキあるいは、なるほどと納得させられる。作者のベン・マッキンタイアーはこのようなスパイの半世紀のようなものの著者としては有名らしい。他の作品も読みたくなった。
【書評】ソ連に「自由と民主主義」をもとめた反逆者:ベン・マッキンタイアー著『KGBの男―冷戦史上最大のスパイ』 | nippon.com
ソ連のKGB中佐だったゴルジエフスキーは、英国に寝返って二重スパイとなり、西側に貴重な情報をもたらした後、決死の逃避行で亡命を果たす。彼は、英国情報部(MI6)がKGB中枢に潜ませた冷戦史上最大のスパイだった。
 本作は、彼の諜報活動のすべてを克明に綴った半生記である

後年、英国のサッチャー首相、米国のレーガン大統領は、亡命後のゴルジエフスキーと直接会い、彼の献身的な貢献に対して丁重な謝意を伝えている。

そこから、核戦争勃発の危機が現実のものとなっていく。
 発端はこうだ。 
〈1981年5月、KGB議長ユーリ・アンドロポフは、上級情報員たちを秘密会議に招集し、驚くべき発表をした。アメリカが、核兵器による先制攻撃を仕掛けてソヴィエト連邦を地上から消す計画を立てていると告げたのである。〉
 その席には、ソ連の最高指導者レオニート・ブレジネフ書記長も同席していた。
〈アンドロポフは、アメリカとNATOは「核戦争の準備を積極的に進めて」いると宣言した。そして、KGBの任務は、この攻撃が差し迫っている場合にその兆候を探り出して早期警報を出し、ソヴィエト連邦が奇襲されないようにすることであると告げた。〉

1984年2月14日、病死したアンドロポフ書記長の葬儀が行われ、参列したサッチャー首相は、ソ連に好感をもって迎えられた。彼女は、事前に、ソ連に受け入れられるためにはどのように振る舞うべきか、ゴルジエフスキーに助言を求めていた。その台本通りに彼女は自分の役を演じた。

それらの、スパイとしての活動も面白いが、冷戦時代当時のサッチャーやブレジネフなどが、彼の情報で彼のサジェッション通りの振る舞いをするのがリアリティがある。
RYANと呼ばれる作戦では、ソ連側がアメリカが核ボタンを押すのではないかと過度に不安になり、アメリカに先にボタンを押される前に押さなくてはと核戦争一歩手前の状況になるのだが、このゴルジエフスキーのもたらす、ソ連側が過度に恐れている情報を知り、核戦争が避けられる場面は、スリリングだし、知らなかった情報で興味深い。西側は、核戦争を未然にふせげたのは彼の功績として、サッチャーは彼に秘密裏に勲章などを与える。おおっぴらに彼に勲章はあげれないから。。。。
他にも、ゴルジエフスキーは無事イギリスの亡命できるのだが、家族、妻と二人の子供はソ連に残される、この時の判断は苦悩だったが、ソ連からの脱出には一人の方がリスクが少ないとの判断だった。このあたりの苦悩も書かれている。その後、何円貸して家族もイギリスに来ることになるのだが、そのときには妻は、ゴルジエフスキーに対し信頼がなくなり、結局、ソ連にいた時に無理やり離婚させられるのだが、それが元に戻ることはなかった。
約470ページもある厚い本だが、後半の脱出劇あたりは面白くて一気に読んでしまう。面白い本です、おすすめです。
その他書評がネット上にはいろいろあるので、いくつか紹介しておきます。
「KGBの男」書評 核攻撃の不安を伝え西側が反応|好書好日
ソ連の社会主義体制が崩壊した時、KGB(国家保安委員会)の元職員らが退職者の会を作り、西側メディアに自らの体験を一斉に語ったことがある。長年の功績にもかかわらず年金もつかない仕打ちに怒ったのだ。私は新聞記者、政治学者とともに何人かの元職員から話を聞いた。証言は具体例(1930~50年代が中心)を元にしていてスパイ小説の比ではなかった。

『KGBの男 冷戦史上最大の二重スパイ』ソ連のエリートがMI6に、歴史を動かした二重スパイ - HONZ
スパイ小説といえば007シリーズの作者イアン・フレミングや、ジョン・ル・カレといった英国の作家の名が頭に浮かぶ。「やはり、スパイ小説は英国に限る」と通ぶってみたくなるが、実は、ノンフィクションの世界にも同じようにスパイ分野の第一人者といえる作家がいる。
その一人が、本書の著者ベン・マッキンタイアーだ。代表作には、第2次世界大戦中の対ナチス諜報を描く『ナチが愛した二重スパイ』『ナチを欺いた死体』『英国二重スパイ・システム』の3部作がある。どの本も、歴史の裏側で行われた諜報戦の熾烈さと独創性に驚かされる。
モグラの嫌疑をかけられたオレークが脱出の時間を得られたのも、この遵法意識のためだ。本書の山場であるモスクワからのオレーク救出作戦はどんなスパイ小説よりもスリリングだ。何しろ命を懸けた本物の脱出劇なのだから。


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