梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

仙台でした

2010年07月09日 | 芝居
仙台市<東京エレクトロンホール宮城>での2回公演でした。
だんだんと2回公演にも慣れてきました。

気候のせいか照明の具合か、とにかく暑い舞台でございました。
とくに『勧進帳』、座っているだけの後見でさえジットリと汗ばんできましたから、シンのお役の方々はいかばかりでございましたでしょうか。
汗になった衣裳を、いかに痛めずに保たせるかも、夏場の巡業では大変なことです。鬘にしましても、土台が銅ですから、汗が染み込むと緑青が発生するのです。羽二重絹で表す生え際部分が、この緑青で染まってしまうと、細かいこととはいえ見た目が悪くなりますし、緑青が混じった汗が衣裳に落ちると、その部分が変色してしまうのですよね…。
衣裳さん、床山さんが、細心の注意を払って毎日メンテナンスをして下さるおかげで、私たちは気持ちよく舞台に出られております。

終演後は、<はやて>に乗って盛岡に入りました。
これから遅い晩ご飯を食べに行きます。

山形でした

2010年07月07日 | 芝居
<山形市民会館>での2回公演でした。
巡業が始まって5回目の公演ですが、2回公演は3回目。『七段目』はまだ“三日御定法”が適用される範囲内だったのですね。
とびとびで上演されるので、なかなか慣れないというか、ともすれば感覚を忘れてしまう危険もあります。これからはほぼ毎日2回公演ですので大丈夫だとは思いますが、『重の井子別れ』『勧進帳』にくらべて、回数の上では遅れを取っているわけで、はやくこちらの芝居にも、よい意味での“なれ”が欲しいと思います。

比較的小さい劇場で、洗面所が少ないのが大変でした。私たちの楽屋がある2階には水場がなく、1階まで降りなくてはならず、まして背中まで白粉を塗っている女形の化粧から立役の裃後見への拵えがえには、本当はシャワーなりお風呂なりを使いたいところですが、幕間は20分ですので悠長なことはいってはいられません。普段にくらべれば、相当の負担を肌にかけながら、急いで落とし、塗って、また落とし…。化粧負けしないように気をつけたいと思います。

          ◯

…ここで『合同公演』情報。
一般前売りも開始から約ひと月。ヨル公演が残席「余裕あり」。とくに20日(金)、23日(金)がオススメです。17時開演ですが、終演は20時10分頃の予定です。決して遅くはなりませんので、何卒宜しくお願い申し上げます。
公演情報が『婦人画報』8月号、『演劇界』8月号に掲載されました。是非御覧下さいませ!


雨の須賀川でした

2010年07月06日 | 芝居
福島県須賀川市<須賀川市文化センター>での1回公演。
何度もお邪魔しておりますが、こちらの会館での楽しみは、ケータリングサービスです。
普通は、お菓子やのど飴、お茶やお水などソフトドリンクが用意されますが、こちらでは、それに加えて地元でとれた新鮮な野菜が振る舞われるのです!
キュウリやトマトが氷でキリッと冷やされ、辛味噌やお塩が添えられ、ホクホクのジャガイモにたっぷりのバター、ゴボウの煮たものなど、夕方からの公演で小腹がすいた一座の面々にとっては有難い軽食となりました。
キュウリもトマトも本当に美味い! みずみずしくて、そのままの味もしっかり。やはり地元産の辛味噌も病みつきになります。
月並みな言い方ですが、大地の旨味を存分に堪能し、ただでさえバタバタする1回公演を元気に乗り越えることができました。

公演途中からまさに車軸を流す大雨。雨音が舞台にも聞こえてくるくらいでした。
宿泊地である仙台への移動も心配されましたが、なんとか無事に到着。これから3連泊です。
…いよいよ「巡業に出た」という気分になってきました。
荷開け、荷造りの段取りもついてきましたし、毎回寸法が変わるお芝居にも慣れてきました。

本日も大入り満員! 本当に有難いです。

お休みでした

2010年07月05日 | 芝居
今日は<休演日>でございました。
たまの休みにはやりたいことが沢山! 旅の肌着も一度持ち帰ってきちんと洗濯、勉強会の事務も、家の掃除も、録りためたテレビも観たいし…。

『一心會』のお稽古もございました。私は後見でお手伝いさせて頂きますが、今日は数演目の<下ざらい>がございましたので、お稽古に立ち会わせて頂いて、仕事を確認いたしました。一生かけて究めてゆきたい後見。今回沢山勉強させて頂けるのが嬉しいです。機会を与えて下さった藤間の御宗家に心から感謝申し上げるとともに、踊られる方のご迷惑にならないよう、心して勤めます! 部屋子の梅丸が勤めます『子守』でも後見をいたしますので、よろしくお願いいたします。

『一心會』は初の浅草公会堂での公演です。キャパが大きくなりましたので、より多くの方々にご覧頂けることとなりました。普段親しくさせて頂いております先輩、仲間、後輩が多数出演いたしますので、何卒よろしくお願い申し上げます。ただいまチケット絶賛発売中! 

この公演に続いて、8月14日(土)に、日本橋劇場で開催されるのが『第3回 趣向の華』
藤間勘十郎師と、尾上青楓師がご主催の、普段の興行では観られない趣向が盛りだくさんの会。この度私は、尾上青楓師が落語をもとに筆をお執りになった、喜劇『真田小僧』に出演させて頂くこととなりまして、その鬘合わせに八丁堀の床山会社<大澤>さんへ。詳細はヒミツですが、明治の長屋のおかみさん役で、息子役が梅丸…。まさか親子を演じるとは思いませんでしたが、彼が大活躍する大変面白い作品です。こちらも是非ご来場頂きたく存じます。

『一心會』『趣向の華』ともに、詳細はこちらからお願いいたします。

新橋演舞場の楽屋に陣中見舞いにお邪魔してから、いつもお世話になっている整体の<銀座マナ>に久しぶりに伺いカラダのメンテナンス。かなり楽になりました。昨日の飛行機移動でけっこう腰や背中にきていましたもので…。

最後はやはり行きつけの門前仲町<ココナッツ・パーティー>で夕食。
この時期だけの、トマトとアンチョビの冷製パスタで暑気払い。野菜たっぷりで大変美味! 隣り合わせた方が、たまたま過日の<ザ・ノンフィクション>を御覧下さっていたりですっかり盛り上がり、『合同公演』のご案内もできて嬉しいことばかり。

<銀座マナ>でも毎年『合同公演』のことではお世話になっております。つくづく、ご縁というものの有難さを感じた1日でございました。

札幌でした

2010年07月04日 | 芝居
<公文協東コース>はさっそく北へ飛びました。
昨3日に札幌入り。移動だけなので、半日オフとなりましたが、観光よりもなによりも、新琴似に住んでいた祖父母のお墓参りをするべく、叔父一家にお付き合い頂いて、真駒内の霊園に。
舞台が重なり、葬儀も法事も満足に参列できなかった不孝者でしたので、やっとそのお詫びをすることができました。いつまでも、見守っていて欲しいな…。

本日は4日は<札幌市教育文化会館>での2回公演。
1日の段取りが、だんだんとついてきました。毎回開け閉めする自分の荷物は、できるだけコンパクトにしたいものですが、化粧道具、肌着や小物にしても、何が必要で、どれがいらないかは実際芝居が始まってみないとわからないものでして、その<仕分け>が進んできております。なにせ終演後30分で貸し切りバスが出発! なんてこともあるくらいですから、撤収の手間を第一に…。

昼夜ともに、大入り満員大盛況! しかも反応がすごくよい!
嬉しくなりますね~。
あいかわらず『重の井』腰元→『勧進帳』裃後見は大変ですが、なんとか慣れてきました。
いやじゃ姫の化粧もさせて頂いております。大変充実した1日でございます…。

というわけで、ただいま(午前0時半)東京に帰ってきました。
はい、ススキノで打ち上げというわけではないのです。
明日は東京で<お休み>でございます。

夏の旅、始まりました

2010年07月01日 | 芝居
本日<公文協東コース巡業>の初日を無事に迎えることができました。
新小岩の《江戸川総合文化センター》が振り出しとなりましたが、なんでも当会館は、こけら落としに師匠がご出演なさったそうで、由縁のある劇場といってよいかと存じます。
私は2度目の出演。自宅からも近いので助かりました。

昼夜別狂言という、巡業としては大変珍しい、また豪華なプログラムです。同じものを1日2回繰り返すよりは、精神的にも肉体的にも、「気が変わる」ぶん新鮮で、疲れ方が違ってまいります。
私は昼の部で『重の井子別れ』の腰元、短い幕間をはさんで『勧進帳』の裃後見ですので、拵えがえがかなりせわしない! 女形の化粧を落として、一から立役の顔をして衣裳を着て…。舞台に穴はあけられません。とにかく大急ぎで支度しなくてはならないのが、今月最大の難関…。

まあ、それは舞台裏でのハナシなんですが、頂いた『重の井』の腰元、『忠臣蔵七段目』の仲居の両役は、ともに雰囲気が大事なお役です。今日はまだ段取りに追われてしまっていたかもしれません。焦らずに、しかし怠りなく、その役“らしい”匂いが身に付くように経験を積んでまいります!