梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

濃い時間でした

2010年02月25日 | 芝居
歌舞伎座さよなら公演『十七代目中村勘三郎追善 二月大歌舞伎』、無事に千秋楽を迎えることができました。

『ぢいさんばあさん』の、お褒め上を渡す腰元、『籠釣瓶』の八ッ橋付き振袖新造のシン、なんとか勤めおおせることができまして、ホッとしております。
腰元のほうは、日を追うごとに落ち着いて、丁寧にできるようになったかなと思います。「こんなんじゃだめだよなぁ」と思うこと多々の初日近辺でした。ダメなところは、自分の意思で変えなければ変わりません。でもその変えることに不安や緊張を抱いてしまいがちです。それを振り切る勇気(オーバーかな)、強い気持ちをもって取り組んでいかないと、なんのために25回のチャンスがあるかわかりません。そういう意味で、ひところより少し(ほんの少しですけど)度胸がついてきたかな、という気がしないでもありませんが、自分のことは自分ではわかりませんね…。

『籠釣瓶』の新造、まだまだ「縁切り」の場に出るのは早いよな~というのが正直な気持ちです。
こちらは先ほど申したことと真逆になるかもしれませんが、頭では処理できないこと、雰囲気とか風情とかが本当に大事なのだと痛切に思いました。もっともっといろんなお役を経験して、そういうものが体に染み込んだら、もう一度勉強させて頂きたいです!
とはいえ中村屋(勘三郎)さんの次郎左衛門と大和屋(玉三郎)さんの八ッ橋のお芝居を、間近で拝見できる、感じることができるという、役得以外の何ものでもないような有り難い毎日でした。本当に感謝!

…毎日毎日大勢様のご来場で、熱気あふれるひと月でございました。本日の『籠釣瓶』には、総ざらいの日に体調を崩され、ながらく休演されていた小山三さんがご復帰なされ、あたり役と申しても過言ではない女中お咲をお勤めになりました。1回だけの出演だけとなってしまいましたが、本当に良かったと思っておりますし、そのお舞台に立ち会えたこと、演技を拝見できましたことをありがたく思っております。

1日歌舞伎座におりましたけど、思ったより早くすぎて行った如月興行でした。
ひきつづき『御名残三月大歌舞伎』に出演いたしますが、さあ「去る三月」はいかがあいなりますでしょうか?