梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

結構重労働だそうですが

2008年12月11日 | 芝居
雑事にかまけて3連休を頂いてしまいました。

さて、もうすぐ世間はクリスマスということで、不景気とはいえジングルベルで浮き立っておりますが、歌舞伎座の楽屋にもサンタクロース用の橇(そり)が準備されました。

…失礼いたしました。そんなものはございません。
これは、雷の効果音を出す、<雷車(らいしゃ)>という道具です。
木枠の中に、いくつもの歯車がついていますが、まずこの本体を舞台に勢い良く叩き付ける(あるいは落とす)ことで、落雷の瞬間の「ドカン(というかバリンというかビシャンというか…)!」の音を出し、そのまま前へ転がしてゆくと(さながら廊下の雑巾掛けのような体勢で)、歯車が「ゴロゴロゴロ…」と鳴るという仕組み。当然ながら人力で、多くは役者が勤めます。


今月は『高時』で使用されております。天狗が出る直前、一天にわかにかき曇り、舞台が闇につつまれるところです。
2台の雷車が舞台裏を往復しながら、ただならぬ雰囲気を生み出しております。
『鳴神』でも使われますが、実に原始的な仕組みながら、なかなか迫力ある音を生み出してくれるんですよ。