梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

礼に始まり…

2005年04月15日 | 芝居
前回は「楽屋風呂」のしきたりについて書きましたが、今日は楽屋内、そして役を演じる上でのしきたりについてお話しましょう。
まず楽屋の中は、どんなに遅い時間でも、初めて会う人には「お早うございます」と挨拶します。先輩後輩の区別はありません。衣裳を着るときは、担当してくれる衣裳さんに、着る前に「お願いいたします」、着終わったら「有難うございました」。また、女形さんの中では、同じ場面で大勢出るときなど、着終わった時点で、まだ着ていない人たちへ「お先でございました」とも申します。
カツラをかぶるときもやはり「お願いいたします」「有難うございました」。舞台へ行く前には、共演者に「お願いいたします」といって楽屋を出て、終わったあとは「有難うございました」といって楽屋に戻ります。カツラをはずすときも「有難うございました」、衣裳は自分で脱げて畳めるときは何も言いませんが、女形の衣裳など衣裳さんが畳んでくれるときはやはり「有難うございました」です。
お風呂のことは前回通り、仕事が終われば、「お疲れ様でした」か「お先に失礼します」といって楽屋を出ます。
楽屋内では挨拶が一日中飛び交っています。この挨拶がちゃんとできることが、まずは役者の修行の始まりなのです。

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