梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

苦しみながら

2005年04月17日 | 芝居
昨日は朝方から急に発熱しまして、体中も痛みだしてしまい大変でした。実家に帰って家族の世話になりましたので、更新できませんでした。
体調が悪いときの舞台ほど、つらいものはございません。短い出番ならまだしも、じっとしていたり、あるいは立ち回りやトンボを返るときなどはなおさらです。私は風邪をひきやすい体質でして、年に三、四回は苦しみます。まず喉にきて、それから高熱と節々の痛み。お腹にくることはありません。風邪ぐらいでは舞台は休めませんから、薬で抑えて、勤めるわけですけれど、出番の前まで、「舞台で倒れたら…」と心配になります。
今まででつらかった「風邪をひいての役」といえば、まず『車引』の仕丁役。二十分ちかく立ちっぱなし、さらに大声で「アーリャ、コーリャ」という「化粧声」を出さなくてはならず、途中で本当に気を失いそうになりました。
次は『金閣寺』の捕手役。このときは節の痛みが大変ひどく、その状態で織物の重い衣裳を着ての立ち回り、挙げ句にトンボを返ってすぐ三点倒立。失敗するのではないかとそればかり気にしていましたが、なんとか無事に終わりました。
そしてこれは今年の二月のことですが、『傾城阿波鳴門』の尼役と、『棒しばり』の大名役と言う大役をひと月勉強させて頂いたとき。おりからの流行に乗って(?)、インフルエンザにかかってしまいまして、このときは声がでなくなってしまい、勤めている役が役だけに(二役でセリフが約百!)、お客様に申し訳がなく、辛い思いをいたしました。
普通の風邪にしろ、インフルエンザにしろ、かかってしまったら、安静にするしかないのですね。むしろ普段からの「風邪をひかない体作り」が大事だなと、つくづく思います。
ところで昨日からの風邪ですが、今朝は平熱に戻りました。まだ体はすこししんどいですが、予想以上に治りが早く、驚いています。これには実は、とある理由があると思っておりますが、それはまた、明日お話しましょうか。

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