梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

終演後のお楽しみ?

2005年11月21日 | 芝居
先ほど用事があって新橋演舞場の楽屋にお邪魔しましたら、今日は昼の部一回公演で、終演後に<パーティー>があるとのこと。名古屋での初演、京都での再演を経て、満を持してのこの東京公演がもうすぐ千穐楽ですので、お疲れさま、という意味での催しだそうです。
歌舞伎以外の商業演劇では、公演期間中に、例えば中日ですとか千穐楽、あるいはその近辺にパーティーを開いて、出演者、スタッフ、劇場関係者の皆さんが集まって、お互い労苦をねぎらうという習慣が一般的なようです。食事をし、お酒を酌み交わすだけでなく、余興があったり、賞品が当たるゲームが行われることもあるということを、商業演劇に出演している方から以前伺いました。
では歌舞伎界はどうかと申しますと、そういう催しはほとんど行われません。歌舞伎座を例に考えてみますと、一年十二ヶ月、毎月歌舞伎を興行しているわけですし、その出演者も、いってみればいつも顔を合わせているお馴染みばかり。パーティーで親睦を深める必要もないくらい、いつも一緒に行動をしておりますからね。
それに千穐楽などは、<撤収作業>が大変ですから、そんな忙しい日にパーティーなどできない、ということもあるでしょう。さらにいえば、<パーティー>なる催しをするという考え方そのものが、古来の日本にはなかった、ということはあるかもしれませんね。
しかしながら、今日の演舞場のように、公演期間中にパーティーがある公演も、近年では増えてまいりました。歌舞伎座でも、八月の花形歌舞伎では、数年前からパーティーが行われるようになりましたし、浅草公会堂での初春歌舞伎でも、行われているそうです(しかも千穐楽当日とのこと!)。
ちなみにパーティーの会場は、お客様が帰った後の、劇場食堂を使って行う場合が、多いようですね(もちろん違う会場、あるいはお店になることもあるようですが)。
私も二、三度このようなパーティーに出席させていただいた経験がございますが、一つの興行に、これだけの人たちが関わっているのだとびっくりするくらいの人、人、人。会場は熱気で汗が出るくらいでした。仲間同士でおしゃべりしたり、普段一緒にならない分野の方と交流できたりと楽しいことばかりですが、ついつい美味しい食事にばかり夢中になってしまう自分が、浅ましいやら情けないやら…。
そういえば、以前は夏の勉強会『稚魚の会』でも、中日にパーティーがありましたが、あれはいつからなくなったのかな…。

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2 コメント

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Unknown (ウエノッチ)
2005-11-22 08:57:58
偶然、梅之丈のブログに出会いました。歌舞伎には、毎月足を運んでおります。仕事を忘れ、家族を忘れ(?)歌舞伎鑑賞に没頭できる唯一、私の大事な時間です。とにかく素晴らしい! 伝統の中にも現代に通じる教訓があったり、日本人が忘れてしまったと日々感じることの多い『人を思いやる気持ち』がお芝居からも舞台上の役者さんからも強く感じます。特に梅之丈のように師匠を助けながら、舞台に関わる立場の方からは「良い舞台にしたい!」という意気込みがヒシヒシと伝わってきます。後見の方の貢献は、観ていてこちらも心が引き締まり、大きな拍手を贈らせていただいております。

これからも応援しております。人間力のある大きな役者さんになってくださいね。

追伸:私も浅草「小柳」さんのファンです。うなぎ、美味しいですよね。。。
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ウエノッチ様 (梅之)
2005-11-24 00:05:13
初めまして! いつもご観劇いただいているようで有り難うございます。このブログも始めてからはや半年以上。いろいろな方との出会いをもたらしてくれました。皆様のご観劇の助けになるような、というとオーバーで生意気な申しようかもしれませんが、もっともっと歌舞伎の世界を知っていただけるそのお手伝いができればと思っております。

いつか『小柳』でお会いするかもしれませんが、今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます!
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