梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

歌舞伎フォーラム公演 記者発表

2005年08月04日 | 芝居
本日も勉強会のお稽古はございませんでしたが、午後ニ時より、両国の江戸東京博物館内にて、九月の『歌舞伎フォーラム』公演の記者発表があり、私も出演者として出席させて頂きました。
伝統芸能誌や、各種新聞、報道機関にむけての発表でございまして、製作である松竹株式会社様、プロデュースの舞台創造研究所様、そして江戸東京博物館館長様、今回の公演の成功祈願祭を行わせて頂く亀戸天神宮司様、そして『松王下屋敷』の脚本、演出をなさる兼元末次様(竹本三味線の豊澤時若師匠の本名)と、出演俳優三名(中村京妙さん、澤村光紀さん、私。中村又之助さんは歌舞伎座の稽古で欠席)が揃いまして、公演の見どころ、意気込みを述べさせていただきました。
また、『松王下屋敷』では、松王丸の一子、小太郎が登場します。子役が勤めるのですが、今回この役を、一般公募のオーディションで選ばれた六人のお子さん(五人が男の子、一人だけが女の子)が、日替わりで勤めます。会見の途中からは、この六人の子供達と、子役演技指導の兼元多恵子様(末次様の奥様)と共に席に加わり、一言ずつ抱負を述べましたが、昨今のお子さまはものおじしないものですね、大人顔負けの堂々とした物言いで、記者の方達からも盛大な拍手がおくられておりました。

六人のうち一人だけが、本番通りの化粧と鬘、衣裳をつけての出席となったのですが、その子供への化粧は、私がさせて頂きました。本年二月の『歌舞伎フォーラム』公演でも、やはり子役がでるお芝居でして、その時に初めて<子役への化粧>をさせて頂きました。自分の化粧もまだ満足にできませんのに、他人の顔を任せられ、大変でございましたが、先輩方の御指導もあり、終わりの方では随分楽になりました。今日は約半年ぶりとなったわけですが、思いのほかスムーズに完成し、ほっといたしました。
それにしても、子供達のエネルギーの凄まじさ! 子役達の控え室はさながら公園。にぎやかな笑い声と足音でいっぱいでした。これからだんだんとお行儀を覚えてもらわなくてはなりませんが、元気がある子供の方が、舞台でもしっかり演技ができるものです。公演期間中も、私と先輩のと二人で分担して子役の化粧をいたしますので、今からみんなと仲良くなって、楽しい雰囲気で、お芝居作りをできたらな、と存じます。

記者発表のあとは、博物館のメインスポットでもある、江戸時代の芝居小屋「中村座」を再現した建物の前で、出演者、関係者がうち揃い興行の成功を願う<顔寄せ>を公開で行いました。一般のお客様方に見つめられながらでしたので、少々恥ずかしゅうございましたが、その後引き続き行われた、望月太左之助師匠による「一番太鼓(劇場で夜が明けぬうちから鳴らす大太鼓)」の披露で、広い館内に響き渡る太鼓の音を聞いておりますと、本公演への責任をひしと感じ、心新たにお稽古する覚悟が生まれました。

明日は『松王下屋敷』の<立ち稽古>です。「型」が残されていないだけに、演出の方の御指導と、我々の力で作り上げてゆかねばなりません。どこまで役を自分のものにできるか、苦労でもあり、楽しみでもございます。

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