梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

夏の終わり・そして秀山祭九月大歌舞伎

2011年09月01日 | 芝居
『音の会』『合同公演』『小学生のための歌舞伎体験教室』と、8月の舞台は瞬く間に過ぎ去りました。
今となっては遠い昔のようでございます。

常と違い、自分たちの手で運営してゆく勉強会。一昨年より、<より若手のための>公演となってから、なおさらその難しさ、厳しさが身に沁みております。

『音の会』の「菅原伝授手習鑑 車引」では、兄弟子の梅蔵さんの松王丸に、黒衣の後見をさせて頂きました。まさか生涯勤めることはないだろうと思っていた後見でした。ご承知の通り大仰な扮装でございますから、着付け作業ひとつとってみても、慣れていないだけに汗をかきかき大変でしたが勉強になりました。そしてなによりも、久しぶりにこのような公演に出演される、梅蔵さんのお手伝いができましたことが嬉しかったです。

『合同公演』では、「対面」の舞鶴役を勉強させて頂きましたが、古風なお芝居だけに、理屈も分別も無用の、おおらかで明るく元気なお役は、初めての体験でございました。ご指導いただきました加賀屋(魁春)さんから、とにかく<大きな声で>、<女ということを意識しすぎないで(普通でしたら小林朝比奈なわけですから)>とのお言葉を頂戴しましたが、これまで経験したことのない演技に挑戦できましたことは、難しくもありましたが、とても楽しゅうございました。
また、『一條大蔵卿』では、大蔵卿の後見も勤めることとなり、7年ぶりにぶっかえりもさせて頂きました。こちらは失敗したら主演の方に大きなご迷惑をかけてしまうので、かなり緊張しました。手慣れる、とまではいかなかったのが心残りですが、こちらもこのさき勤めることはないであろうお仕事、勉強できましたのは本当に有難いです。
お盆に重なった公演でございましたが、心配していたお客様の入りも、全8回のうち4回、完売となりまして、これはひとえに当公演をご支援下さる皆々様のお陰と、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

『小学生のための~』では、はじめて化粧担当としてお手伝いさせて頂きました。『対面』を4組で上演するので、総出演者は約70名。私は大名さんや親子梶原を中心に化粧をさせて頂きましたが、皆さんお行儀が良くてとってもやりやすかったです。といっても、へんに大人しいわけでもなく、そこは子供らしい元気さ明るさでいっぱいで、良いエネルギーを沢山もらうことができました。
小学生の皆さん、お疲れさまでした。

これらの合間に『稚魚の会友の会』のパーティーもございましたし、いやはや、よく体力が続いたもの。

           ◯

さて、これらの思い出はスッパリと胸の奥にしまい込んで、当月は新橋演舞場<秀山祭九月大歌舞伎>でございます。

目出度く賑々しく、『3代目中村又五郎 4代目中村歌昇 襲名披露』でございます! どうぞ新秋の演舞場でお芝居をご堪能頂きたく存じます。
師匠は昼の部の大喜利『勢獅子』の<鳶頭鶴吉>と、夜の部の序幕『沓手鳥弧城落月』の<大野修理亮治長>、『口上』にご出演です。
私は『勢獅子』の<手古舞>に出演させて頂いております。はじめての手古舞役ですが、あの独特な拵えをすることができるだけでも嬉しいのに、鳶の者との踊りもさせて頂けるのが、本当に有難いです! 


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