梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

千穐楽、そして…。

2006年01月26日 | 芝居
歌舞伎座の初春公演、あっというまに終わってしまいました。
『鶴壽千歳』の後見、『藤十郎の恋』の大道具方、ふた役とも何事もなく勤められたこと、また風邪もひかずに万全な体調で今日の千穐楽を迎えられたこと、「よかった!」という気持ちでいっぱいです。新年会や後輩の結婚披露宴などで、楽しいひとときを過ごすことができたのもよい思い出、踊り初めやトンボ道場開きでの心地よい緊張感も忘れられません。
しかし今月で一番の体験は、『伽羅先代萩』で、師匠の女形の衣裳を着付けさせて頂けたことです。これまで勉強する機会がなかった私に、歌江さんはじめ色々な方が沢山のダメ出しとお教えを下さり、有り難いと思う一方で、正直プレッシャーを感じ続けたひと月でした。手際よく、綺麗に仕上げることを目標にしてやってまいりましたが、ともすれば左右の裾の長さが不揃いになってしまったり、<行灯(あんどん)>と申しまして、腰から裾までのラインがだらしなく緩んでしまったりすることもあり、舞台での姿を見ながら、(明日はココを気をつけよう)(どうすればもっと手早く形をつけることができるのだろう?)と悩んでしまいました。ところが着付けというものは、悩みながらやるものではないのですね。少しの躊躇、ためらいが、かえって手際の悪さ、ひいては形の悪さを招いてしまう。ドツボに嵌るとはまさにこのこと、教わったことを万分一も実現できない有様で、情けない思いでいっぱいでした。いい意味での開き直りで取り組めたのはごく最近、(今日はいいテンポでできたかな)と思えたのはほんの数日。それでも先輩方から見れば、ダメなところばかりなのですから、つくづく悲しくなります。
それでも、そんな私にひと月任せて下さった、周りの方々のお心遣いは本当に有り難く、私はこれからも、そのご恩に精一杯応えてゆかなくてはなりません。来月の博多座でも、同じ芝居、同じ役で出演なさいますので、心を新たに今度こそ! の気持ちで努力いたします。とにかく数をこなして、身体で覚えられますように!

…博多座公演のお稽古は二十九日から。二日間のお休みです。身体と心をゆっくり休めて、リフレッシュしてから九州へ向かいます!


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2 コメント

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九州か・・・いいな・・・ (ノッカー)
2006-01-27 13:39:50
久々に診に来たら、毎日更新してて。あせったであります。九州までの移動は飛行機ですか?気をつけて行って来てください。
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ノッカー様 (梅之)
2006-01-30 16:20:44
昨日無事博多に到着しました。これからはじまる『博多日記』をお楽しみに!
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