梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

乗り換え3回、1時間かけて

2007年01月27日 | 芝居
彩の国さいたま芸術劇場大ホールにて、彩の国シェイクスピア・シリーズ第16弾『コリオレイナス』を拝見して参りました。
紀元前5世紀のローマを舞台に、勇敢、高潔で比類なき武勲をあげながら、民衆を軽視した故に破滅する武将、コリオレイナスの悲劇が描かれます。
こちらの劇場でシェイクスピア・シリーズを拝見するのは、『マクベス』『ペリクリーズ』『タイタス・アンドロニカス』『お気に召すまま』に次いで5回目です。大きすぎず狭すぎず、ちょうどいい寸法の舞台に、演出である蜷川幸雄さんがどんな魔法をかけてくれるか、それが楽しみで足を運んでおりますが、今回も、観る者をワクワクドキドキ、ときにニヤリとさせる、なかなかの趣向でございました(これから観る方のために詳細は秘密)。
主人公コリオレイナスの唐沢寿明さんは出ずっぱりの大奮闘、戦場での立廻りはもとより、自国ローマの民衆、執政官たちとも、常に闘い続ける武将役。あまりに潔癖なゆえに、許せないものばかりに囲まれた苛立ち、傲慢とも見える自負心の猛々しさが存分に伝わって参りました。対する敵国ヴォルサイの武将オーフィディアスの勝村政信さんも、台詞の声音で若く雄々しき将軍を十二分に表現し、存在感にあふれておりました。コリオレイナスの母の白石加代子さん、民衆の代表という名目で、コリオレイナスを批判、世論操作で群集を煽動する護民官の瑳川哲朗さん、コリオレイナスの数少ない理解者メニーニアスの吉田鋼太郎さん、そして20人近い民衆役の皆さんによる、緊迫した3時間半の舞台に大満足でした。

3月は第17弾『恋の骨折り損』が控えております。観られるかな~、そのまえにはコクーンで『ひばり』もありますし、ホント、時間さえあれば! と思うことしきりのこの頃でございます。

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1 コメント

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遠いところを・・・ (SwingingFujisan)
2007-01-28 00:51:48
>なかなかの趣向でございました(これから観る方のために詳細は秘密)。
お気遣いいただいた<これから観る>者の1人でございます。ありがとうございます。
なんだか重そうな内容のようですが、梅之さんのレポートを拝読すると、充実した舞台の様子が想像でき、期待がふくらんできました。
「恋の骨折り損」も私、見に行きます。「ひばり」はコクーンなので諦めます。
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