梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之博多日記17・『中日です』

2006年02月14日 | 芝居
やっと折り返しです。ここまで怪我も病気もなくやってこられたので、今後も油断しないで頑張ります。
『女伊達』の立ち回りでは、先日、今まで全然気がつかなかった部分で、一緒に出る人にとってはやりにくい動きをしてしまっていることを、ダメ出しのときに先輩からご指摘があり、改めよう改めようと努力しておりますが、無意識でやってしまっていたことを、意識しながら動くのが大変です。しかも考え考えしながらなので、余計におかしくなってしまったりと、我ながら情けない限りです。ヘンに意識しないでも、綺麗でみんながついてゆきやすい動きをするのは、本当に難しい! 十二日間やってきてコレか! とお叱りを受けても申し開きもできませんが、まだ半分ある! の気持ちで、先輩がたが下さるアドバイスを無駄にしないように努力します。改めて、自分の意識の甘さに気づかされました。

さて、本日はちょっと先のお話で恐縮ですが、四月歌舞伎座の公演のご案内をさせて頂きます。
今年の四月大歌舞伎は、師匠のお父様で、平成十三年三月に亡くなられた、六世中村歌右衛門の大旦那の五年祭とございまして、その『追善興行』となりました。合わせて、四代目中村玉太郎改め六代目中村松江・五代目中村玉太郎(今の玉太郎さんのご長男)の襲名、初舞台のご披露もございます。
昼夜に並んだ演目は、どれも六世歌右衛門の大旦那に所縁の狂言でございまして、大旦那が初演したもの、復活したものもございますし、平成十四年の、一年祭の『追善興行』とは、また違った趣きがあるかと思います。

すでにチラシやポスターで目にされた方もいらっしゃいましょうが、ここで改めてご紹介を。

《昼の部》
一、『狐と笛吹き』
二、『高尾』
三、『沓手鳥孤城落月』乱戦・糧庫
四、『関八州繋馬』

《夜の部》
一、『井伊大老』
二、『六世中村歌右衛門五年祭追善口上』
三、『時雨西行』
四、『伊勢音頭恋寝刃』油屋・奥庭

…また、以下の内容は、師匠梅玉の公式ホームページでも発表されておりますが、この興行を機に、私の兄弟子梅蔵さんと、加賀屋(魁春)さんのお弟子でいらっしゃる歌松さんが名題となり、その御披露をなさいます、歌松さんは名前も<春花(しゅんか)>に改名なさいます。
そしてもう一人、「歌舞伎俳優になりたい」という夢を持ち、長らく師匠が預かっていらっしゃいました九才の男の子、森正琢磨君が、正式に師匠の部屋子となりまして、<中村梅丸>の名前で初舞台を踏むことになりました。高砂屋、加賀屋にとりまして襲名や初舞台、名題昇進のご披露と、お目出度いことが重なりまして、私も一門として嬉しい限りです。いっそう気を引き締めて、働いてゆく所存です。

師匠が五役に出演いたしますので、私たち弟子の立場の者も、いつも以上に忙しくなることは必死ですが、三月ひと月休んで蓄えた体力を総動員で頑張ります!
皆様、是非是非この興行に、足をお運び下さいますよう、心からお願い申し上げます。

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3 コメント

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四月公演 (あおい)
2006-02-14 18:20:35
ブログ300回おめでとうございます。梅之さんの怪我での休演のお話心にひびきました。自分自身前が見えなくなるときがありますが、自分だけじゃないと思うとなんだか頑張れそうな気がします。これからもいろんな困難とか悩み事などあると思いますが、乗り越えていってくださいね!私も頑張ります!四月公演観劇する予定です。今月舞台半分とお稽古頑張って下さいね!
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応援してます! (はなみずき)
2006-02-14 23:16:24
梅之さま、前日(13日)の記事も、本日の記事も大変感動しました。特に、前日の記事は読んでいてやはり私も涙が出ました。色々な経験をされて、そのたびに成長されて、今の素敵な梅之様がある、そしてこれからも益々成長されるのだろうなぁ、と改めて思いました。

お師匠さまの「八汐」の着付けにしても、本日の記事のような立ち廻りにしても、いつもご自身を振り返り、納得するまで努力される姿勢、本当に尊敬しておりますし、またそのお姿をこのブログで伺って、「私も頑張らなきゃ!」と励まされています。

4月に向けて、また一段とお忙しくなりますね。まずはこの2月も後半戦。どうぞお体を大切になさって、頑張ってくださいね。応援しております!
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おめでとうございます (お軽)
2006-02-15 22:05:56
三百回ですか。一回一回の内容の濃さを考えると、本当に感心してしまいます。梅之さんの生れる前から歌舞伎を観ているのに知らないことばかりでした。読めばなお観たくなるし、観てなくても観た気になるという楽しい文章、お芝居以外のお話もとても魅力的です。これからもずっと続けてくださいね。私の父は歌右衛門丈と同じ日、雪月花相揃う不思議な春の日に亡くなりました。四月の舞台は特別な思いで観せて頂きます。
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