梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

稲苗月稽古場便り・参

2007年04月29日 | 芝居
本日は『め組の喧嘩』の<総ざらい>に、『勧進帳』『女暫』の<初日通り舞台稽古>。
『勧進帳』は昨日はじめてお稽古したばかりですので緊張いたしました。いくら先輩方にお話を伺っていても、実際に<動いて>みなくてはわからないことばかりです。話を聞くだけで上手にできるほど、舞台は甘くはございません。
案の定、演者との距離のとりかた、動きのキッカケ、細かい用事等々、やってみて初めてわかることばかりで、いやはや、富樫の後見を3度ばかりやったくらいでは、まだまだ『勧進帳』をわかったことにはなりません。本当に今日の稽古は勉強になりました! 初日からは各仕事を練り上げてゆくこと、より無駄を省くことを気をつけ、歌舞伎十八番らしい後見になれるよう努力します。

『女暫』は昨日も申しました通り<揃える>ことを第一に演じましたが、こればっかりは、ひとりだけがアタフタしても仕様がないもの。全員の気を揃えるためには、何を気をつければよいか。各々が意識をもって動かなくてはなりますまい。そういう意味で、課題は残りました。
50分近く舞台におりますが、鬘が頭に当たって、だんだんと痛くなってくるのです。ずれないように締める<合引>のためかもしれません。痛みをこらえて出る舞台ほどつらいものはございません。初日からはもう少し緩めてみましょうか…。

前後しましたが、『め組の喧嘩』では、昨日はまだおおまかな段取りしか決まっていなかった鳶と相撲の立廻り部分が完成され、通して稽古されました。いや~、その迫力、面白さといったらございません! 舞台ではさらに激しくなるでしょう。今回からの新工夫もあるようですから、これは観なきゃソン! ですよ。