梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

勉強会稽古日誌 1頁

2006年08月14日 | 芝居
本日、そして明日の両日の『修禅寺物語』のお稽古は<自主稽古>です。ご指導頂く紀伊国屋(田之助)さんには、十六日から本格的にお稽古をして頂きますが、その前に、出演者同士でいま一度演技の段取りを合わせて、よりまとまったものを作り上げようという狙いです。稽古場は国立劇場内の第四研修室。普段は歌舞伎俳優研修生の授業で使う部屋で、私ども卒業生には大変懐かしい、慣れ親しんだ部屋でございます。

四月に配役が決まって以来、実ははじめて全てのキャストが東京に揃ったわけでして、これまでは地方公演出演のため、常に数人の欠員がおりました。なかには六月が博多座、七月が大阪松竹座というふうに、ふた月もみんなとの稽古に出られなかった人もおりまして、今日のお稽古ではそうした人たちに、これまでのお稽古中に紀伊国屋さんがおっしゃった注意点や、お決めになった演出を教えたりすることもできたのでした。
離ればなれになっていたとはいえ、それぞれ台詞は完璧に入っていますから、スムースに進行してまいります。ただしせっかくの自主稽古ですから、お互いにダメをだしあったり、思ったこと感じたことを言い合う時間を作りまして、よりよいお芝居ができるよう意見交換いたしました。

今日のお稽古を終えて、一同が「やっぱりみんなと合わせないとダメだね」との感想を同じくしました。自分の台詞だけを何遍も繰り返して自分のものにするのも大切なことですが、その一つ前の台詞を、相手がどう言ってくるか、どういう動きでからんでくるか、それがわからないことには本当の台詞まわしにならないのですね。お互いのイキをつかむこと、合わせること、このことを残り十日間のお稽古で学ばねばなりませんね。

藤浪小道具さんから、すでに本番で使う小道具をお借りしておりますので(どの演目も同様)、お稽古でも使わせて頂いております。『修禅寺物語』でいえば、紙砧(かみぎぬた)、面箱、面、薙刀などは、実際あるとないとでは稽古に大きな違いがございます。扇子などで代用するよりも、自然な演技に近づけますからね。源頼家を演じます私も、やはり実際お面を見つめながらですと、「おお見事じゃ、よう打ったぞ」の台詞が大変言いやすくなりました。

さて、本日は稽古に先立ちまして、今回の勉強会の実行幹事が集まりましての話し合いがございました。主な議題は楽屋割りの作製。本興行では<頭取>さんが決める部屋の割り振りも、勉強会では自分たちの手で作ってゆくのでございます。今年は出演者数が例年より多いので、ぎっしり感があるかもしれませんが、部屋の数には限りがあるのですからいたしかたございません。かえって賑やかさは増すのでは?

余談ですが、今日は思いつきで、自宅から劇場まで自転車で通ってみました。浅草通り~江戸通り~靖国通りと通過して、約四十分で到着。しかしこの暑さの中、九段の坂を登るのは辛かったな…。