タカ長のタカの渡り観察

タカが好き、山が好き、花が好き、心はいつも旅もよう。日々移ろいゆく心もようを綴るナチュラリストのつぶやきです。

トビ吉おじさんとの雑談

2008年01月24日 | タカの渡り観察
 昨日の、トビ吉おじさんとの雑談です。昨日は操作ミス(?)でアップできなかったので、何を書いたか忘れてしまったようです。素晴らしい頭です。


 この地球上のすべてのものは引力の影響を受けています。その引力に抗して空を飛んでいる鳥や飛行機は、翼の前端部に風の流れを感じながら、翼に揚力を発生させて空に浮かんでいます。

 鳥が空を飛ぶための性能を考えるとき、翼の面積や形状、そして鳥の重さが重要な要素になります。翼にかかる重さ、翼面加重は鳥の平均体重と平均翼面積が分かると算出できます。その計算式は平均体重/平均翼面積です。

 そのためにトビ吉おじさんはタカが帆翔しているところを真下から写した写真を手にいれ、それをコピーして、データとして分かっている翼開張や体長などをベースに、タカ長に言わせると気の遠くなるような努力をして計算しているのです。その計算も正解を期するために、サンプル数を増やし(例えばハチクマは10サンプル)その平均値を取っているのです。

 これから先はトビ吉おじさんの独壇場で、タカ長としては詳細な説明は出来ません。しかし、翼面加重が小さければ降下速度も小さくなり、降下速度が小さいと言うことは、弱い上昇気流で上昇することが可能だと言うことは理解できます。また、対気速度が小さくても空に浮かんでいることが出来ることも理解できます。

 ハチクマやノスリが帆翔するとき翼を一杯広げているのは、翼面積を出来るだけ大きくして、翼面加重を小さくしているのです。上の説明でお分かりのように、翼面加重が小さくなれば少ない、弱い上昇気流でも高度を稼ぐことが出来るからです。同じ上昇気流だったら、翼面加重が小さいほど上昇速度が速くなるからです。

 このあたりの事情は理解できますね。それとともに私たちが現場で見ている状況を一致していますね。物好きと言えば物好きですが、トビ吉おじさんはそのあたりのことを数式を使って実証しているわけです。

 このあたりのデータを揃えると、降下速度も飛行対気速度も計算できてくる、と言うことです。と言うことは翼の形を見ると飛行対気速度も計算することが可能だと言うことです。

 実際にトビ吉おじさんは計算を試みています。
 
 ハヤブサが獲物を追うときは羽を絞って飛んでいます。タカを見る人なた誰でも見たことのある光景です。そのときの翼面積を計算します。体重は同じですから、翼を絞り翼面積を小さくしていると、上記の計算式で分かるように翼面加重は大きくなります。翼面加重が大きくなれば降下速度が速くなることは何となく理解できます。

 トビ吉おじさんの試算では、私たちよく目にする降下角度が二十数度で獲物を追っている(斜め下に速く飛んでいるイメージでしょうか)ときで70km/hくらいのスピードになるようです。私のイメージとは少し遅いような気がしました。
 ハヤブサが獲物を追うときは100km/h以上のスピードを出している、と言われるのは、正確に言えば翼を一杯に絞り落下している、と言うのが正しいのかも分かりません。

 タカ長は観察中、目の前30度くらいの上空にいたハイタカが突然羽を絞り、私の頭のすぐ上(チョッとオーバーに言えば、手を出せばつかめるくらいの距離)をかすめて背後のブッシュに飛び込んだのを目撃しました。
 あのときのハイタカはシッカリと翼を絞っていましたが、仮にあのときの翼の形を正確に図面化できると、あのときのハイタカのスピードが分かると言うことです。

 トビ吉おじさんは変わり者だと言えば変わり者ですが、このようなユニークなホークウォッチャーが一人や二人いても良いでしょう。
 誰か彼の話に乗っていくことが出来る人はいませんかね?