タカ長のタカの渡り観察

タカが好き、山が好き、花が好き、心はいつも旅もよう。日々移ろいゆく心もようを綴るナチュラリストのつぶやきです。

韓国・ホンド(紅島)でのハチクマの渡り

2007年12月01日 | タカの渡り観察
 先日韓国の群山で行われた韓国鳥学会で発表した渡り鳥研究センターのKS研究員のプレゼンテーションからの紹介です。発表文もメールしてもらったのですが文字化けして読むことが出来ませんから、スライドを見て分かることだけ紹介することにします。

 研究センターが確認したハチクマの数(秋の渡り数です)

  2005年     702
  2006年     404
  2007年     659



 これだけのハチクマがあの峰を越えて中国大陸を目指して渡ったと言うことです。2006年はタカ長も行きましたが100羽程度の渡りしか確認していません。その年は連日の快晴無風の天気でしたから、韓半島から一気に中国大陸に渡った個体が多かったのではないかと推察しています。

 詳細な記録は取っていませんが幼鳥が多くおよそ半数を占めているような印象を持っています。
 彼らの記録では45%が幼鳥になっています。

 この3年間の記録を見ると広島での記録と同じように2007年はその前2年と比べて渡りのピークが遅く出現しています。今年のピークは9月27日で200羽+を記録しています。ちなみに広島でのピークは9月28日でした。

 渡りの時間別の数を見ると7時~8時が一番多くて40.1%

 その後は平均的な数字が並んでいますが20%程度が午後記録されています。朝の出方は春のプサンでの記録と同じようですが、午後の20%は引き返しの固体が記録されていないのではないか、と言う気もしています。

 たった1回だけの観察ですが現地での観察経験から言うと、昼頃になるとハチクマの動きが複雑になり、漂行する固体も多くなるので、渡り個体と漂行する固体を区別するのはかなり苦労させられそうです。

 その区別は現地で毎日観察している人でないと難しいので、現地研究者の観察に頼るしかないのですが、いずれにしてももっともっと多くの観察例が積み上げられることを期待しています。

 タカ長は現地研究センターの研究員の状況を多少は推察できるのですが、彼らは限られた人数で小鳥類などすべての野鳥を扱っています。現場に出て観察をすることが好きな研究員やデータの分析に興味を持っている研究員などいますが、それぞれが自分のテーマで動きながら、今秋は二つの学会(一つは国際学会)の準備をし、無事終了させました。

 その上KS研究員は博士号取得のための勉強や日本語の勉強にも取り組んでいます。そのように多忙な中で今回のようにハチクマの渡りについて整理し、発表してその上優秀論文賞を受賞しました。いまが旬、若いから出来ることでしょうが、彼らの努力に敬意を表するとともに今後の発展を祈ってやみません。

 もう一つ嬉しいのはその発表にPG研究員の名前があることです。PG研究員はKS研究員の大学での後輩であり、研究センターでも後輩に当たります。KS研究員はPG研究員を弟のように思い、PG研究員はKS研究員を兄のように慕っています。そしてチョッとだけ怖い先輩だと思っています。PG研究員も日本語を勉強中です。このように若い研究者が韓半島と日本との渡りの姿を解明してくれるはずです。

 韓国の若い研究者の皆さまへ熱いエールを送ります。