「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

障害を持つ者が当たり前に在宅で生活できる地域づくりと、彼らの防災への誘い(その4)

2015-04-17 19:03:59 | 障害者防災
去る4月12日午前、静岡県地震防災センターで行われた、
前大分県社協ボランティアセンターのMさんを囲む、ミニミニ研究会での議論。

まだまだ続きがありました。というので、今日のブログ更新はその続きを。

障害を持つ者が、当たり前に、在宅で、生活できる地域を作ろう、という活動が、
そのまま災害にも強く、安全で安心な地域作りにつながる、という話をしていた。
その延長で議論となったのが、障害者の性の話。

「女性の貧困問題に関する本を読んでいて、知的障害を持つ人で、
性風俗に関わる人の割合がすごく多いと聞いた」という問題提起をしたのがIさん。
Iさん曰く、業者を立ち上げた=産業として立ち上がった(立ち上げた)事例がある、とのこと。

「出張慰安婦と呼ぶかどうかで議論になった」という紹介もあったが、
女性の関係者にとってはしばしば「恨み」の念も絡む話である、とのことであり、
またUさんからは、「男性障害者の性的問題の解決はすごく難しい」との指摘もあった。

(余談だが……。たまたま、ではあるのかもしれないが、
こういうテーマをオープンな形で議論出来る方々が集まってくれた僥倖に感謝したい。)

そもそも人間も動物であって、性の話は絶対必要なもの。
したがって、この種の議論はオープンになってしかるべきであろうし、
実際にオープンになりつつあるようにも思われるが……、というのは静岡のIさんの弁。

西宮のIさん曰く、
「(女性の側からすれば、この種の議論は)中絶を訴えるところから入っている。
(妊娠したとしても)子供を産まなくてもよいのだ、ということを認めてよ、と。」

障害を持つ人も当たり前に在宅で生活している社会というのは、
こういう話であっても、普通のこととして話し合えるような、そういう社会なのだろうなぁ、と、思う。
学生を前にして話しやすい話題ではないことをいいことに、
多少逃げてきたなぁ、というのは、「旅の坊主」の偽らざるところ。

高齢者入所施設では、老人同士のHがあるという話題も出てきたし、
北欧・デンマークのグループホームでは、上手にラブしている、という話も紹介された。
でも、日本では障害者は恋愛禁止、ということ、らしい。
もちろん法的規制ではないが、社会がそのような規範を作ってしまった、ということか……。

Mさんからは、こういうエピソードが紹介された。
障害を持つ者の社会参加にも大変熱心な弁護士のT先生に対して、
障害を持つ女性曰く、「先生は私のことを女性として見ているか?」と。
T先生曰く、「私も考え方が甘かった」とのこと。

こういう話を聞かせていただいて、Mさんをお呼びした甲斐があった、としみじみ思った。

やはりこの研究会での議論の内容、再構成してどこかにアップしなくては、であるな。