「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

障害を持つ者が当たり前に在宅で生活できる地域づくりと、彼らの防災への誘い(その3)

2015-04-14 23:52:44 | 障害者防災
一昨日(4月12日)静岡で行った、
前大分県社協ボランティアセンターのMさんを囲む、ミニミニ研究会での議論、
続きの続きをご紹介しておきたい。

地域の中で、障害者と共に暮らすにはどうしていけばよいのか。

一人の障害者を安全に避難させるために、
Aランクの人は1人に5~6人、Cランクの人は1人に1人、
障害の種別ではなく、支援者の必要人数別に整理して、それをマップ化する、
つまりは「みえる化」して共有すること。

このマップ作りのアイディアをしっかり具体化することが出来れば、
なるほど、地域は変わっていくかもしれない。

ランクは、名前ではなく色で示すこと。加えて、支援に必要な技術を記号で示すこと。
そういうマップを作れば、外部からの支援者であっても共有できるな、と。
Mさんは、その種の活動を大分で展開してきたのだそうな。

防災訓練への参加率が低いのは、これは「旅の坊主」の責任でもあるのだろうが、
防災訓練のプログラムがありきたり過ぎるものだから。
もちろん、基礎訓練を重ねる必要はあるのだが、それはそれとして。

「地域に障害を持っている人がいる。在宅で生活している。その状況はこの地図の通り。
いざとなった時、この人を助けてもらいたい。」

そういう役割が明示されたならば、参加者の心づもりも変わってくるかもしれない。

思いを持った優れた語り手の、経験に基づく話は、聞く側に、いろいろなイメージを持たせてくれる。
自己目的化してしまった防災マップ作りを批判するようになって久しいが、
Mさんが話をされたような地図には出会ったことがない。
また、そういうアイディアを提供してしかるべきだったのだろうが、
その種の提言を怠っていたようにも思う。
四半期に一度、とはいかないだろうが、こういった形でじっくりと話を聞いてみること、
本当に大切なのだなぁ、と思った週末だった。

Mさんの話に戻そう。

堂本県政時代の千葉県が、差別禁止条例を作ったのだそうな。
(一応は千葉県民のはずの「旅の坊主」、恥ずかしながら、そのことを知らず……。)
障害者の問題は、当事者(本人)と家族の問題だ、で、片付けるのではなく、
健常者の側からの合理的配慮はあってしかるべき、との発想、
社会のモデルを作っていくのだ、という意気込み、
そういうものを、条例化しようという取り組みにも携わっておられるのだそうな。

防災の問題のみならず、親なきあとの問題、恋愛・結婚・出産の問題、性の問題、
それらについても、大分県条例案には入っている、とのこと。

障害者であっても性の問題は避けて通れない。
本人たちは、生まれた時に、喜ばれなかった、という経験を持つ。
でも、そうではない形の社会を作っていかなくては、ということ、なのだろうが。

語り始めると、上っ面をなめたような書きぶりが許されるような問題ではない。
続きは改めて、とさせてもらおう。