「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

恐るべし吉田町(静岡県榛原郡)

2015-04-10 23:58:22 | 地域防災
本年度前期の講義開始日なれど、「旅の坊主」前期金曜は学外研修日なので、
講義開始は週明け月曜日から。

「嵐の前の静けさ」というフレーズは何回もつかってしまったが、
大分から「大分の防災はMで持つ」とまで関係者を言わせたOさんを今日から静岡にお招きして、
いろいろとブレストをしようという週末。

大学に出て「毎月第2土曜日はDIGの日」の準備を終えた後、
昼過ぎに静岡駅近くのホテルにOさんを迎えに行き、
前々から見たいと思っていた、県中部・西部の地震・津波施設を二人して見て回る。

明日、明後日と、いつもの静岡県地震防災センターを拝借する訳で、
そのご挨拶・打ち合わせ&(恥ずかしながら)「○○はどこにあるの?」を聞きにセンターへ。
富士市内や沼津市内であれば大体のポイントは掴んでいるつもりだが、
情けないながら静岡県中部・西部はアウェイの地域。

有難いことに、現地チェックのポイントを丁寧に教えてもらい、さらに、
吉田町防災課の方に話をつけて下さり、有名な吉田町の津波避難タワーを幾つか、
ご案内させていただいた次第。

吉田町の田村典彦町長は、実は「旅の坊主」の兄弟子筋に当たる方であり、
かつては同じ研究所に勤めていたこともあったという間柄。
お会いするのは数年ぶりなれど、改めて田村節&吉田町の地震津波防災対策を聞かせていただき、
これは!と、得るところ、極めて大きなところであった。

津波避難タワー等の建設や津波避難ビルの指定程度までは、全国各地、そこそこに進んでいる。
しかし、「避難で命は救えるかもしれないが、避難でふるさとは救えない。人生も救えない」訳で、
そこから先が「戦略的に」どうしても気になるところであった。

ひょっとして、その辺りの戦略(被害が出ないまちづくり)は諦めてしまったのか、とすら
思っていたところだったのだが、さすが田村町政下の吉田町は二味、三味違った。
戦略目標としての防潮堤建設(水につからないまちづくりについても、
しっかりと段取りが終わっていた。

東日本大震災の被災自治体を除けば、ここまでしっかりした予防策を講じている市町村を、
「旅の坊主」は知らない。

もちろん、土地利用&行政投資の観点からすれば、
「使わない土地」「自然に返すべき土地」の議論はあってしかるべき。

しかし、町政を預かる者としては、
防潮堤がなければ土地価格が暴落してしまう場所&企業がいなくなってしまうような場所でなく、
しかるべき人脈によって国庫からお金を引き出し、あるべき一つのモデルを作る、
これが、より現実的に求められる姿なのだろうなぁ、と。

細部については、改めて述べたいが、久しぶりにお会いした田村町長、
さすが、ただ者でない雰囲気はまったく変わっていなかった。

その後Mさんと「命山」、さらに「民堤(民間資金による堤防)」と見て回り、
夜はいつものように(?)、「やさい亭」にて鈴木の姉御とおしゃべりもしつつ、
美味しい料理に舌鼓を打つ。

間違いなく刺激的になるであろう週末の、素敵なスタートでありました。