「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

ふたば未来学園高校に

2015-04-08 23:59:07 | 防災学
4月8日は、1970年(昭和45年)に天六ガス爆発事故のあった日。
ただ、恥ずかしながら、火災についてほとんど知識を持たない「旅の坊主」ゆえ、
天六ガス爆発と聞いてもWikiをチェックする学生と大差はない。
ただ、2つ、明確に覚えていることがある。
一つは、労働省に勤めていた亡き父から聞いたこと。
春の人事異動後の歓迎会が開催されていた時に、テレビで(?)事故の報道が流れ、
労働基準局勤めの者ゆえ、歓迎会を打ち切って職場に戻ったというエピソード。
もう一つは、大阪消防局に勤めていたSさんから、阪神淡路大震災後に聞いた話。
天六のガス爆発事故の現場は、阪神淡路大震災よりも凄惨であったということ。
そしてそれゆえ、当時は心のケアなどという言葉はもちろんなかったが、
職員のストレスケアのために幾つかの対応をしたということ。
その経験があったがゆえに、震災直後、現地に入った「旅の坊主」らをカラオケボックスに連れて行き、
ひたすら飲ませ食わせ歌わせ、で、平常心を取り戻させることをやってくれたこと。
それが、心のケアとはどういうものか、についての、実体験に戻付いた教えとなったこと。

これから先、都市が出来つつある過程で発生した天六ガス爆発とは性格は異なるものの、
都市インフラの老朽化による事故は、多発していくことになるだろう。
新規のインフラ整備ではなく、維持管理コストの低いインフラへの転換が求められている。
その種のビジョン、建設コンサルタント会社の知恵の見せどころ、と思っているが、
さて、いかがか?

ふたば未来学園高校の開学について、いろいろな報道がなされている。
高校の事情についても多少なりとも耳学問が進んでくると、
原発事故によってふるさとを追われたというだけでなく、
統廃合を余儀なくされている事情も透けて見える。
「前例なき環境には前例なき教育を」というキャッチコピーはなるほど魅力的に映るが、
問われるのはこれから先、5年後、10年後の姿だろう。
ゲスト・スピーカーにはそれなりの著名人が集まったようだが、
その質が本当に問われるのは、言うまでもなく担当教員。
兵庫県立舞子高校環境防災科を育てた諏訪先生のような、
この学校・この学科と心中してもよい、という思いを持った先生方がどれほどいるか。

世の中に歴然として存在している高校(や大学)のランキングの中で、
中高一貫の総合学科高校がどういう位置づけにあるか、容易に想像できる。
外部応援団だけではどうにもならない現実もあるだろう。
それらに対して、志は似たようなものを持っている身として何ができるか、
少しは考えてみなくては、と思ったような次第。