<大撫山>
昨日、佐用都比売神社が鎮座する、
兵庫県佐用町の地名起源譚をご紹介しましたが、
さらにそれらの物語には続きがありました。
==========================
出雲の大神との国占めののち、
玉津日女命は稲の作付けに使用した
シカを近くの山に放ちました。
のちにその山は、「鹿庭山(かにわやま)」
と呼ばれるようになり、
鹿庭山の四面にある12の谷のすべてから、
鉄が産出されたのだそうです。
鉄を発見したのは「別部の犬」といわれる人々で、
その子孫たちが時の天皇に初めて鉄を献上しました。
==========================
『金屋子神祭文』に関する記事で取り上げた、
「別部の犬」というキーワードが登場するのが、
この『播磨国風土記』の讃容郡についての項目です。
鹿庭山は現在の大撫山(おおなしやま)と呼ばれる場所で、
山麓には神庭神社(かんばじんじゃ)という社があり、
天目一箇神(大友左手彦命という説もあり)が祀られているのだとか……。
ちなみに、神庭とはその名の通り「祭祀場」という意味ですが、
出雲の荒神谷遺跡がある斐川町神庭など、
「鉄」との関わりが強い地名でもあります。
鹿庭山も本来は神庭山だったといわれていますし、
「阿用」「佐用」と同様、この地と出雲との関連、
そして「神庭」と「鉄」とのつながりも気になるところですね。