<佐用都比売神社 さよつひめじんじゃ>
***** 鉄の神々3播磨・因幡 *****
鉄の神々の痕跡を求め、
播磨国から吉備国・美作国へと
旅をしてまいりましたが、
ここで再び播磨の地に舞い戻り、
さらなる考察を深めて行くことにしましょう。
旅の二日目、朝一番で訪れたのは、
兵庫県佐用郡佐用町にある
佐用都比売神社(さよつひめじんじゃ)です。
現在、播磨国に属する佐用郡は、
もともと美作国に属していたエリアで、
吉備国を備前国・備中国・備後国の3国に分割した際、
美作国が独立して大和朝廷の直轄地となり、
佐用郡は播磨国へと編入されたと聞きます。
ゆえに、地勢的な面でみると佐用郡は、
豊富な鉄資源を要する美作国とのつながりも強く、
スサノオや金山彦神、天目一箇神など
「鉄の神」を祀る神社も多いのだとか……。
出雲街道と因幡街道の交わる交通の要所にあることから、
佐用のあたりはこの一帯の「鉄の出入り」を
管理していた場所だったのかもしれません。
個人的には、この土地の名称である
「佐用」という言葉の響きを耳にしたとき、
現存文献に載る日本最古の鬼伝説、
「阿用の一つ目鬼」の話が伝わる
雲南市大東町の阿用地区を思い出しました。
阿用の「用」の字は当て字だそうですが、
佐用の「佐」は鉄を意味する漢字ですから、
音の似た両地区の名前の中に、何らかの形で
「タタラ民」が絡んでいる可能性も高いのでしょう。
【このシリーズの参考書籍】
古代の鉄と神々 ~真弓常忠
風土記からみる古代播磨 ~坂江渉 他
民族・地名そして日本 ~谷川健一
青銅の神の足跡 ~谷川健一
鹿と鳥の文化史 ~平林章仁
海峡を往還する神々 ~関裕二
全国一の宮徹底ガイド ~恵美嘉樹