たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

地霊の乗り物

2019-06-16 09:14:49 | 鉄の神々2

<佐用都比賣神社 さよつひめじんじゃ>

 

昨日、「日本ではごく近年まで羊がいなかった」

という記事を書きましたが、「羊」が日本の風土に

合わなかったということは、つまり「羊」には

日本の地霊が宿れなかったという意味であり、

「仔羊の血」の習俗とともに来日した人々が、

羊を神に捧げることをあきらめた理由も、

「地霊の乗り物」として羊が適さなかったからだと考えられます。

 

恐らく、日本の地霊にとって、

日本の風土に馴染まない羊より、

銅鐸の絵柄として好まれた「鹿」や「猪」などの動物や、

各々の土地で捕獲された他の生き物のほうが

相性がよかったのでしょう。

恐らく、供物として神に捧げられる動物たちは、

その土地で育ち、その土地のものを食していることが

必須条件だったのかもしれません。

 

国占めの際に賛用都比売命が、

役目を終えた鹿を近くの山に放ったのも、

農耕儀礼に用いる供犠の動物を

「自らの土地に」戻すためだったとも想像できます。

だとすれば、「動物の描かれた銅鐸を土に埋める」

という行為は、ある種の「地霊鎮め」であり、

犠牲となった鹿や猪を地霊に返す所作だったのでしょうか……。