たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

物部氏の役割

2019-06-05 09:07:37 | 鉄の神々1

<別府狭>

 

三種の神器のひとつ「草薙剣」は、

もともと「異民族の武器」でありながらも、

スサノオにより国津神の御魂が宿され、

最終的には天津神が所持する神器となりました。

言うなれば、草薙剣には大陸系の神霊と日本固有の神霊、

そして天津神系の神霊とが混在し、

複雑なエネルギーを放出していたのでしょう。

 

それに対し「八咫鏡」は、

天照太御神の御魂が宿る天孫族の象徴であり、

純粋に神の依り代として作られた

銅製(もしくは石製)の神器です。

つまり、中山神社の主祭神を「剣(オオナムチ・金山彦神)」

から「鏡(鏡作神・石凝姥命)」へと差し替えることは、

国津神から天津神への権力の移行を示すだけでなく、

「鉄」が日本を席巻する以前の「古い日本」を

取り戻そうとする意図を感じさせるのですね。

 

恐らく、中山神社・石上布都魂神社・倭大国魂神社に、

鏡・剣・勾玉という神器の形代を一直線に並べることで、

ヤマトへと続く海の玄関口である「播磨灘」に、

国難を防ぐための霊的な結界を張ったのだと思われます。

そして、それらの中心的役割を果たしていたのは、

美作(吉備)周辺でオオナムチを奉斎し、

同時に剣山の南麓で独自の祭祀を行っていた

物部系の一族だったのかもしれません。