たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

鹿の多様性

2019-06-13 09:02:00 | 鉄の神々2

<国立歴史民俗博物館>

 

弥生時代の遺物(特に銅鐸)に、

最も多く描かれている動物は、

なんと「鹿」なのだそうです。

当時、人々の生活エリアには、

狩猟動物以外にも昆虫や水生生物などの生き物が、

たくさん生息していたと思われますが、

なぜ「祭儀」や「呪術」のシンボルである

「銅鐸」の絵柄として、「鹿」という動物が

好んで選ばれたのかを考えると、

そこにはやはり鹿の抱く多様性が

影響していたとも推測できます。

 

聞くところによりますと、鹿という動物は

豊穣を呼び込む聖獣として崇められただけでなく、

潤沢な水をもたらす「水の神」

としての側面も持っていたのだとか……。

また、古墳時代の「埴輪」や

副葬品の「須恵器」などに関しても、

鹿を象った形象や鹿を意味する線の模様、

あるいは「相撲を取る人」に添えられた

鹿の絵などが見られることから、

鹿が葬送儀礼と関わっていた

可能性も大いに考えられます。

 

いずれにせよ、先日ご紹介した

佐用都比売神社の伝承以外にも、

『播磨国風土記』の中には、

不可解なほど多くの「鹿の物語」が

伝えられており、播磨国と鹿との

親密な結びつきが見て取れるのです。

恐らくその事実が示すのは、

「播磨国」という国が

実際に「鹿の住処」であったこと、

そして鹿が暗示する「何か」が

存在したということなのかもしれません。