たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

青銅器の神

2019-06-03 09:49:33 | 鉄の神々1

<銅鐸資料>

 

一説に、石凝姥命という神は、

「鉄」ではなく「青銅器」を司る神であり、

鉄の普及とともに登場した他の鉄の神々よりも、

古い歴史を持つそうです。

またこの神は、天孫族に随伴して

来日した神の一柱であることから、

国津神系の鍛冶神・鉱物神とは役目が異なるため、

単純に「鉄の神グループ」に組み込むのは

難しいポジションでもあります。

 

恐らく、中山神社のご祭神が

石凝姥命へと差し替えられた経緯には、

いわゆる「国譲り」の儀式とは一線を画す、

別の思惑が含まれていたとも考えられるのですね。

 

金屋子神、金山彦神、天目一箇神、

さらにはオオナムチ、タケミカヅチに至るまで、

多種多様な「鉄の神」が存在する中で、

石凝姥命(を祖神とする部族)が

中山神社のご祭神として選ばれたのは、

もしかすると彼らが「青銅器」という祭祀具を

作り続けてきた一族だったからかもしれません。

 

この一帯から大量の銅が産出したことなどを踏まえれば、

美作国周辺が「鉄の武器庫」となる以前は、

祭祀用の銅製品の生産地だった可能性も高いのでしょう。

青銅器から鉄、つまり土着寄りの神道から

渡来寄りの神道へと移行した時代の流れを、

再び古い祭祀形態に戻したいという意図が、

この「天孫系の鉄神」の動きから読み取れるのです。