たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

石凝姥命の部族

2019-06-02 09:43:10 | 鉄の神々1

<銅鏡資料>

 

現在の中山神社のご祭神である鏡作神は、

通称「石凝姥命(いしこりどめのみこと)」

と呼ばれる鏡作部の祖神です。

一般的にこの神は「産鉄」を司る神として祀られ、

皇祖ニニギとともに日本の地に降り立った、

天孫族の側近部族ともいわれています。

 

恐らく、中山神社に天孫系のこの神が

祀られるようになったきっかけも、

美作国が古くから鉄の生産地であり、

長い間「鉄の神」をお祀りしてきたことと

無関係ではないのでしょう。

 

しかし、よくよく考えてみますと、

鏡作神はあくまで「鏡(および石)」の神であって、

「剣(および鉄)」を暗示させる名ではありません。

『日本書紀』においては、

「矛やフイゴを作った神」と記されるものの、

鉄穴の神である「オオナムチ」や、

鉱山を示す「金山彦神」と比べると、

やはり「剣」や「鉄」の印象からは遠ざかります。

 

ここ美作国周辺でも、

他の「イズモ」と同様に国譲りが行われ、

天皇の側近部族が新たな支配者となり、

中山神社のご祭神が国津神系から

天津神系へと変更されたのは確かです。

だとすればなぜ、この中山神社は

他の鉄神や鉄神を崇める部族ではなく、

「鏡」の神や「石凝姥命」を奉斎する鏡作部が

管理する流れとなったのでしょうか……。