たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

地霊

2019-06-14 09:06:25 | 鉄の神々2

<国立民族学博物館>

 

地霊(ゲニウス・ロキ)とは、

大地に宿る霊的な存在であり、

「土地の精霊の親玉」とでも呼ぶべき土着霊です。

細かくいえば、国津神が現れる遥か以前から、

その場所に宿っていた古い精霊であり、

国津神がその地に鎮まってからは、

神に仕える眷属神としての

役目を果たしてきたのでしょう。

 

よって、純粋な「神」とは一線を画す部分もあるのですが、

ややこしくなるのでこのまま話を進めることとして、

実は「鹿」という動物には、「地霊(ちれい)」

を表すという説が存在していたのでした。

それらの話を元に考えると、佐用都比売神社の

「鹿の腹を裂いて血を取る」という伝承は、

「地霊の力を奪う」あるいは「地霊の力を味方につける」

という意味にも受け取れますね。

 

恐らく、賛用都比売命の田植えの逸話は、

賛用都比売命が地霊の許しを得た上で、

その土地の支配権を譲られたことを

表しているのかもしれません。

 

ちなみに、東北地方などで盛んに行われる

「鹿踊り(ししおどり)」という舞は、

主に「地霊鎮め」を目的として行われると聞きます。

そして、その大元には「供犠的性質」つまり

生け贄の記憶が引き継がれており、

死者の供養のために舞われることも多いのだそうです。