<千種町・たたらの里学習館>
宍粟市の中心部からおよそ一時間、
市内の最北に千種町という地区があります。
古くから鉄の産地として発展してきたこの町は、
千種鉄という上質な鉄が産出される土地柄で、
製鉄業が盛んだった時代は、
千種鋼といえば「刃物の代名詞」とされるほど、
全国にその名を轟かせる産鉄地だったそうです。
千種町の「種」、岩野辺の「岩」はともに
金属を示す漢字ですし、一説には、昭和天皇の
皇后の御懐刀も千種の鋼で作られたのだとか……。
いずれにせよ、この宍粟市千種町一帯が、
「鉄の王国」と呼ぶに相応しい場所であることは、
異論のないところでしょう。
そして、この千種町と深いつながりを持つのが、
出雲にタタラ技術を伝えたとされる「金屋子神」です。
奥出雲の金屋子神社の主祭神でもあるこの神は、
実は出雲の神ではなく、ここ千種町から
出雲へと飛来した「播磨の神」でした。
ただし、金屋子神に関わる様々な逸話を総合しますと、
どうも金屋子神は純粋に「播磨国由来の神」とは、
考えにくいところがあるのもまた事実なのですね。