たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

鉄の王国

2019-06-26 09:11:06 | 鉄の神々2

 

<千種町・たたらの里学習館>

 

宍粟市の中心部からおよそ一時間、

市内の最北に千種町という地区があります。

古くから鉄の産地として発展してきたこの町は、

千種鉄という上質な鉄が産出される土地柄で、

製鉄業が盛んだった時代は、

千種鋼といえば「刃物の代名詞」とされるほど、

全国にその名を轟かせる産鉄地だったそうです。

 

千種町の「種」、岩野辺の「岩」はともに

金属を示す漢字ですし、一説には、昭和天皇の

皇后の御懐刀も千種の鋼で作られたのだとか……。

いずれにせよ、この宍粟市千種町一帯が、

「鉄の王国」と呼ぶに相応しい場所であることは、

異論のないところでしょう。

 

そして、この千種町と深いつながりを持つのが、

出雲にタタラ技術を伝えたとされる「金屋子神」です。

奥出雲の金屋子神社の主祭神でもあるこの神は、

実は出雲の神ではなく、ここ千種町から

出雲へと飛来した「播磨の神」でした。

ただし、金屋子神に関わる様々な逸話を総合しますと、

どうも金屋子神は純粋に「播磨国由来の神」とは、

考えにくいところがあるのもまた事実なのですね。