<八咫烏神社 やたがらすじんじゃ>
神武東征の物語をたどってみて感じたのは、
神武天皇が紀伊半島にたどり着く遥か前に、
この一大事業を成功させるための布石が、
着々と置かれていたという事実です。
実際には、予想していなかった事態や、
予定変更を強いられる場面もあったはずですが、
たまたま日本に流れ着いた部族が、
勢いに任せて原住民を攻めたり、
国を奪うために争いを仕掛けたり
したわけではなかったのですね。
神武天皇が紀伊半島を巡る行程というのは、
あくまでも東征の「仕上げ」です。
饒速日命、高倉下、珍彦などをはじめとする、
先住の渡来人や海人族の一派が、
何年もかけて地元の民と交流し、
「あとはその時が来るのを待つだけ」
という状況を作り出していたのでしょう。