<井光地区 いかりちく>
熊野から吉野の山中を巡っている最中、
ふと視線を感じて前方を見ると、
大きな鳥が悠々と周囲を舞っていました。
まあ、四方を山に囲まれた場所ですから、
様々な生き物がいるのは当たり前ですが、
神武東征にどっぷりと浸っている脳内では、
それがカラスやトビの「道案内」に変わり、
想像力を広げるきっかけとなったのも確かです。
記紀の物語に登場する「八咫烏」は、
神武天皇が旅に先立って送り込んだ、
選りすぐりの部下たちでした。
真っ黒な装束を身にまとい、
峰から峰へと素早く動き回るその姿は、
現地の人から見ればまさに、
自由自在に天地を舞い飛ぶ、
「黒いカラス」そのものだったのでしょう。