<荒祭宮 あらまつりのみや>
祓戸四神(はらえどよんしん)の一柱である
瀬織津比売(せおりつひめ)は、
古事記や日本書紀には登場せず、
大祓詞の中にのみその名を記す神様です。
ちなみに大祓詞(おおはらえのことば)では、
「早川の瀬に坐す。瀬織津比売と伝ふ神」とされ、
人間の出した罪穢れを、
最初に受け取る役目を担っています。
大祓詞の内容からもわかるように、
日本人の価値観や日常生活において、
重要なカギを握る瀬織津比売ですが、
幾多の神社の主祭神だったにも関わらず、
ご祭神の名前を書きかえられたり、
同じご利益を持つ弁財天などと
習合して祀ったりするケースも多いよう。
一説によれば、内宮の別宮である伊雑宮も、
もともと瀬織津比売をお祀りしていたという話もあり、
またある史書では、内宮の荒祭宮のご祭神の別名が、
瀬織津姫および八十禍津日神(やそまがつひのかみ)
となっているそうです。
強い力を持つ存在であればあるほど、
表舞台から隠れてしまうのは、
いつの時代も同じなのかもしれません。
【八十禍津日神とは】
イザナギが黄泉の国から戻り禊をした際に、
黄泉の国の穢れから生まれた神で、
災いを防ぐとも災いを生み出すともいわれる。