ぱんくず日記

日々の記録と自己分析。

パンを焼く父親

2013-09-10 03:02:03 | 読書
Finalvent著『考える生き方』2章を読んでいる。


「母親ができる事は父親もできるようにしておく」


これは子供の立場から見て望ましく正しい。
私の父親はこの点完全に欠陥品であった。
自分の履くパンツのありかすら女房任せで家族を守るどころか
気位ばかり高く、人から常に顔色を窺われて当然、
身の回りの事を何一つ自分で出来ず人任せで機嫌取られないと居られず、
脳梗塞や廃用性症候群になる以前から家族にとっては手のかかるお荷物だった。
家事を分担するどころか「飯」「風呂」「寝る」しか発語が無く会話が成立せず、
常にお傍付きの世話人がいて飯の用意をし風呂を沸かし風呂の掃除もやってくれ、
布団も敷いて、朝起きたら片付けてくれるのが当然の生活をして生きてきた世代である。
自分の食った飯の茶碗を自分で洗うだけでもプライドが傷ついて
いじけたりふてくされたりする、家庭の中ではどうしようもなく存在価値の薄い人。


著者は色々な試行錯誤をして家庭を持ち、子供が4人も出来た。
そして彼は家族のためにパンを焼く。
父親が家族のために粉をこねパンを焼くのは素晴らしい事だ。
勿論そのような父親は数少ないにしても皆無ではなく、
現に私の旧友夫妻の夫の方もパンを焼いていた。
いつだったかその頃友人の夫はビール酵母で作るパンというのにはまって
当時まだ幼稚園の年齢だった娘のために彼は日曜日にパンを焼いた。
娘はそのパンを持って公園に遊びに行き、父親の焼いたビール酵母パンを
他の子供達皆と分け合って食べていた。
当然友達が遊びに来ると父親がいい匂いを漂わせてパンを焼いており、
焼きたてほかほかの父親のパンを食べた友達から子供達の間に噂が広まった。
近所の遊び仲間の女の子の一人で


「うちのパパは何でパンを焼かないの?
 **ちゃんのパパはパンを焼くのに」


とゴネる子が出たと聞いいた。
何でパンを焼かないのかと娘にゴネられたご近所の旦那さんは何の話だかさっぱり
ちんぷんかんぷんで、


「世の中にはパンを焼く種類のパパと
 パンを焼かない種類のパパがいるのだ。」


という説明をしたという話だった。笑)
件の友人は家事も特に分担し料理はむしろ凝り性でいろいろ道具を揃えて
蕎麦打ったり馬の尻尾の毛だったか何かで出来た裏漉し器を手に入れてそれで
何やら料理を作っていた記憶がある。


当たり前の事であるが、弁当を作りパンも焼き皆で遊べるゲームを考案する父親は、
それらのどれもこれもやらず気位ばかり高く手のかかる父親に比べれば、
子供にとっては重要かつ不可欠な保護者であり母親に匹敵する存在価値を持っている。
もし母親が倒れて入院でもした場合、
父親が日常的に家事をやり食べるものを子供に提供出来るのと、
食事の仕度が出来なくて自分の母親に来て貰わねば食卓が成り立たないのとでは
父親の存在価値は桁違いではないか。


人間としていろいろ試行錯誤を繰り返しながらも
家族のためにパンを焼き家族みんなで遊べる工夫をし、生活時間の共有に心を配る。
こういう父親は年を取っても病気になっても認知症になったとしても、
重荷になる事はなく、疎まれないであろう。


実に幸せな家族ではないか。
ご家族もご本人も。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
確かに (みつこ)
2013-09-12 15:38:28
そういうお父さんはイイと思います。
返信する
この本 (井上)
2013-09-13 02:06:35
>みつこ様

 この本の著者、ご子息様のガッコの先輩であります。
 ツイッター相互フォローしてますが、凄く面白くて
 読者からの反響ツイートもよく見かけます。
 みつこ様にお勧めの一冊です。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。