高速の短いトンネルをぬけると墓地だった。
暑さに目の前が白くなった。
あたりを見渡しても信号所はなかった。
川端康成風の格調高い文章を・・・
と思ったがあまりの暑さに眩暈がしてしまった。
悪い癖で仕事帰りにいつものようにあてもないフラフラ散歩。
青山墓地がこれほど広いとは思わなかった。
正式には青山霊園と言うらしい。
開設されたのが明治初年というからかなりの歴史である。
後で調べてみると・・・
13万体近くの亡骸が埋葬されているそうだ。
著名人の名前も多い。
そうそう「忠犬ハチ公」の墓もあった。
敷地の真ん中を「墓地通り」が貫いている。
春は一面の桜並木だと言う。
夏木立はうるさいぐらいのセミの大合唱だった。
墓地というのはどこか不気味なイメージがつまとうものだが
とにかく広くて明るい。
まあ、昼間だから当然なのだが・・・
鳥居をあしらった神社風の巨大な墓もあった。
都立の霊園だから「宗派」は問わないのかも知れない。
お盆はとっくに過ぎてしまったが
真新しい花を手に墓参りに来た夫婦連れと何組もすれ違った。
かと思えば背丈より高い夏草が生い茂り
ほとんど朽ちかけた墓もあった。
そもそも人間に墓など必要なのだろうかと思った。
決して多くはなかったが外国人墓地もあった。
どのような氏素性で
どんな有為転変を経て異国の地に眼ることになったのか。
などと思いながらも噴き出す汗がとまらず
外苑前駅近くに喫茶店を見つけるとよろめくように飛び込んだ。
もはや限界であった。(笑)
所用時間一時間のブラリ散歩であった。