まろの陽だまりブログ

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西村昭五郎死す

2017年08月10日 | 日記

映画監督の西村昭五郎が亡くなった。
と言っても名前を知る人はもう少ないのかも知れない。
日活ロマンポルノの巨匠だった。
学生時代はずいぶんと「お世話」になったものだ。〈笑〉



京大仏文出身の秀才だった。
ヘビースモーカーで大酒のみだったと言う。
従兄にあたる吉村公三郎監督の紹介で入社した頃の日活は
自慢のアクション路線や青春映画に陰りが見られ
放漫経営の影響などもあって不況どん底の状態だったと言う。
助監督としてスタートするが仕事は少なく干されている時期も長かった。
そんな中、会社は低予算で撮れる「成人映画」への思い切った路線転換をはかる。
いわゆる「日活ロマンポルノ」の誕生である。
その記念すべき第一回作品のメガホンをとったのが西村だった。
詳しい本数は知らないが確か80本以上は撮っているのではないだろうか。
まさしく「日活ロマンポルノ」の巨匠だった。



その第一作品が「団地妻 昼下がりの情事」だった。
主演は後に「ロマンポルノの女王」と呼ばれた女優の白川和子である。
決して美人ではなくオバサン顔だが
その色っぽさと脱ぎっぷりが評判で絶大な人気を誇った。
京都の場末の映画館でスクリーンに浮かぶ彼女の白い肌を見ながら
ひたすら鼻の穴をふくらませる私がいた。(笑)
当時の日活ロマンポルノには他社にはない大らかさがあって
10分に一回「裸」が出てくれば何を撮ってもいいという風潮だったので
作家性のある監督が我先に参加して来た。
神代辰巳、藤田敏八、曽根中生、長谷部安春、小沼勝、田中登・・・
女優も東てる美、片桐夕子、宮下順子、絵沢萌子、あの美保純ちゃんも出てたなあ。
日活ロマンポルノは日本映画界に咲いた
いわば「仇花」のようなものだったかも知れないと思う。
多くの才能を育て、そして消えていった。
西村昭五郎という監督は常にその中心にいて一時代を築いた
まさに巨匠であり「巨星」だったと思う。
享年87歳だった。