令和4年3月23日(水)
静岡県議会2月定例会で議決された、盛り土の規制に関する条例について報告します。私が建設委員会で条例内容や運用について当局を質しましたので、その質疑の概要について触れます。新条例は、7月1日から施行となります。
●静岡県盛土等の規制に関する条例について
①国の盛土に関する法律の内容
「宅地造成等規制法」を法律面や目的も含めて、抜本的に改正し、土地の用途、宅地、森林、農地等にかかわらず、危険な盛土を全国一律で本格的に調整、規制する法律で新法の名称は、「宅地造成及び特定盛土等規制法」。
規制の概要は、都道府県や政令指定都市が特に影響の大きい区域を限定的に設定し、区域内の盛土を許可制とする。施工状況の定期報告、施工中の中間検査、工事完了時の完了検査を実施する。土地所有者等というのは、土地の所有者とか、管理者とか、占有者が盛土等を安全な状態にする責務を明確化している。罰則は、懲役3年以下、罰金1000万円以下、法人場合は3億円以下の罰金がある。
②この法律と本定例会で審議中の「静岡県盛土等の規制に関する条例」との違い
大きな違いは、条例は県内全域を対象としているが、法律は規制区域を設定し、その規制区域内の盛土を対象としている。
また、条例には、水質や土壌汚染などの環境基準を盛り込むが、法律には環境基準のような規制はない。
罰則については、条例は地方自治法上の上限である懲役2年以下、100万円以下の罰金であるが、法律は、これに比べて非常に重くなっており、懲役3年以下、罰金1000万円以下、法人の場合は3億円以下の罰金となっている。
③この法律が施行された場合、法律と条例(県・市町)の関係について
新条例は早期に厳しい規制にするため、7月1日の施行としているが、一方、国の規制法は、3月1日に閣議決定され、現在の通常国会での成立を見込んでいる。法律の施行時期は、公布から1年以内となっている。
また、県知事等が規制区域を指定することとなっているが、その規制のためには基礎調査が必要とされ、実際にその法律の運用、許可という形で始まるまでには、まだ時間がかかるものと考えている。引き続き、国の議論や法改正の内容にも注視しながら、まずは県条例を先行し、必要に応じて改正を行うなどして、実効性のある盛土の規制に取り組んでいく。
●新条例と現在行われている盛土等の行為について
①現行の土採取等規制条例に基づく届出がされている盛土等について、新条例施行後はどのような扱いになるのか
現行条例に基づく届出がされた盛土等については、届出書に記載された土の採取等を行う期間中は、現行条例の適用を受け、新条例は適用されず、7月1日を過ぎても、許可申請をする必要はない。
ただし、届出の期間中であっても、面積や土砂の量を増やすなどの内容を7月1日以降、変える場合については、そこから新条例を適用する。
②新条例には土砂基準が新たに盛り込まれたがその適用について
新条例の第8条に規定されている土砂基準については、他法令で許可等を受けた盛土等にあっても、7月1日の新条例施行とともに適用される。ほかの法令とかを施行前に許可を取っていれば、その許可期間中は7月1日を過ぎても新条例の許可の手続は必要ないが、土壌汚染の規制については、許可の手続に関係なく7月1日以降、禁止となっている。
③過去に行われた違法な盛土等について新条例がどのように機能していくのか。また、熱海市の例では撤去命令とか、代執行の可能性はどうか。
現在も継続している違法な盛土については、7月1日の時点でも継続していれば、その時点で新条例を適用する。
過去に行われ、盛土行為等が完了していた盛土については、遡及適用はできないので、新条例は適用されない。過去に既に終わっているような盛土については、専ら土地所有者に対する民法上の責任による是正をお願いするしかない。
新条例施行後も、現在、市町が抱えている違法な盛土についても、県と市町で連携してパトロールを実施し、監視していく。
熱海の事例については、届出は済んでいるが、完了の届出はないので、違法が継続しているという考え方になる。
日本一厳しい条例と言われていますが、その運用面で実効性がなければ機能は果たせません。まずは、7月1日から法律の施行前に新条例の運用が始まります。運用しながら課題については条例の見直し等を図り、熱海市で発生した悲劇を二度と繰り返さないよう、取り組んでいきたいと思います。
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