テディベア美術館なるところに行ってきました。
テディベアについては、あまりよく知りませんでしたが、「テディ」というのは、アメリカの大統領だったセオドア・ルーズベルトの愛称で、彼の熊狩りに関する逸話からテディベアという名前がついたということです。その後、玩具メーカーがテディベアの名称で、クマのぬいぐるみを売り出したことをきっかけに、テディベアは世界中に広まっていったようです。
そういう意味で、テディベアについては、クマのぬいぐるみということ以外、特別な定義はないらしく、ややこしい権利関係などの問題によって、テディベアが縛りつけられて、広く人々が楽しむことが阻害されるようなこともないようです。この点、非常に好感が持てました。
そして今回、そのテディベア美術館に足を踏み入れてみたのですが、これがなかなか楽しいものでした。私自身、特段、テディベアが好きというわけでもないのですが、いろいろなテーマ毎にテディベアを配置させて、それぞれの世界を作り出しているところに、個人的な面白味を感じます。
サミット会議場 |
通訳室 |
上の写真は、テディベアのサミットです。会議場には、各国の代表が大きなテーブルを囲んで、議論をしている様子が再現されています。これだけでも、普通に可愛らしいのですが、この会議場の横には、ガラス張りの通訳者の部屋があり、そこにはずらりと通訳たちが座って、仕事をしているのです。こうしたちょっとした演出が、見る者を惹きつけるような気がします。
中国 |
エジプト |
『白雪姫』 |
『アラジン』 |
「キバのベルト装着!」 |
「キバに変身!」 |
そのほかにも、いろいろな国や童話をテーマにしたような展示が並んでいました。それらの世界が、可愛らしいテディベアで丁寧に再現されていることや、そうした世界観全体に大きな親しみを覚えます。また通路には、「仮面ライダーキバ」に変身したテディベアがいたりして、そうした遊び心ある演出を通じて、この美術館を作り出している方々が、きちんと楽しみながら、仕事をされていることが感じ取れるのです。
ところで私は、こうした楽しい展示や演出を通じて、あらためて日本のコンテンツのことを考えました。
テディベアというのは、端的に言えば「クマのぬいぐるみ」ということだけで、そこには特別なストーリーがあるわけではなく、また姿や格好も統一されているわけではありません。そこに良さがあり、だからこそテディベア美術館のような、自由で楽しい展示ができたりするのかもしれませんが、テディベアというコンテンツ単体でみたときに、単に「クマのぬいぐるみ」というだけで、その内容は薄いと言うことができるようにも思うのです。そういう意味で、テディベアというコンテンツをひとつの美術館にまで発展させた方々はすごいと思いますし、その業績に対しては、心から敬意を表したいと思います。
一方で、日本にはテディベアの比較にならないほど厚みあるコンテンツが、数多く眠っています。例えば、テディベアが変身していた「仮面ライダーキバ」というコンテンツには、きちんとしたストーリーがあり、キャラクターの姿や格好も、明確に決まっています。そこには、いろいろな方々が制作に関わっており、複雑な権利関係が存在していることも事実であり、だからこそ、テディベアのような自由で楽しい展示を行うということが難しいとも言えるでしょう。
しかし、そうした厚みがあるコンテンツだからこそ、テディベア美術館でなされているような展示がなされれば、その厚みの分だけ、訪れる多くの人々を惹きつけ、さらに大きな楽しみが広がっていくような気がしてならないのです。
-日本はもったいないことをしている-
テディベアを見ながら、あらためて日本が持つコンテンツの可能性を感じたのでした(「別世界の演出ができる国」参照)。
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