常識について思うこと

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全話で一本の作品

2008年08月10日 | ヒーロー&アニメ

「瀬戸の花嫁」というアニメを見ました。全26話を一気にぶっ通しでの視聴です。さすがにちょっと疲れましたが、本作品を見て思ったことは、このアニメは、全話(26話)で、一本の作品として成立しているということです。これは、他の作品についても、大いに言えることであるとは思いますが、とくにこの作品を見て、強く思ったのでした。

通常、映画であれば、せいぜい長くても2時間程度の作品として収まるので、完結するまでの間、ほぼ強制的にでも見続けることになりますが、ほとんどのアニメ作品の場合、そういうわけにはいきません。細切れ(一本23~24分)にした本編を25話なり、50話といったまとまりにして、数ヶ月単位の長い期間にわたって、ひとつの作品と成立させていくため、映画のように、視聴者に対して強制的に見せていくようなわけにはいかないのです。そういう意味で、途中まで見て、面白くないと思われてしまったら、その時点で、おしまいになってしまいます。

ただ、今回の「瀬戸の花嫁」については、途中で見るのを止めようと思ったことはありませんでした。まず、ギャグセンスが良かったです。単にギャグを入れ込むというよりも、時折見せる「エクセルサーガ」的なカオス&フリーダムなタッチの展開や作画、声優さんたちの演技が、なかなか面白いのです。その他、昔のアニメや映画のパロディー的な要素が盛り込まれているところも見所になっていて、それらもなかなか楽しめます。北斗の拳、ドラゴンボール、ターミネーター、宇宙刑事ギャバンの歌・・・。知っている人なら知っている内容が、不意を突いたように所々で展開されると、それらが妙に可笑しく感じられるのです。

少々横道に逸れますが、こうした昔の作品の要素が、所々で楽しめるというのは、それらが社会の人々に広く共通認識として根付いているということであり、かつてのマスメディアの偉業であるとも思います。

マスメディアの王様とも言うべきテレビは、それぞれの時代において、数多くの人々に多大な影響を及ぼす番組を提供してきました。それらの番組は、今日のように多種多様なコンテンツではなく、種類や数が極めて限られていた一方、ある種の時代を象徴するほど絶大な影響力を持っていました。もう少し別の言い方をするならば、当時のマスメディアには、「その世代なら誰でも知っている」と言われるような内容があったということです。こうしたことは、多様化が進んだ今日において、だいぶ薄れてきた現象ではないかと思います(マスメディアの影響力については、一部「共有という楽しみ方」を参照)。

ちなみに前出の「エクセルサーガ」の12話で、「どうする、どうする、君ならどうする。任せるんだ、私たちに。」というセリフがありましたが、これは紛れもなく「電子戦隊デンジマン」の歌詞をパロディーにしたものだと思います。これがネタになるというのは、デンジマンの曲が広く世間に知れ渡っていることが前提になっており、その意味で、テレビというマスメディアの偉業があってこそだと思うのです。

話を「瀬戸の花嫁」に戻します。この作品は、そうしたギャグアニメという意味で、面白可笑しく見続けることができたので、途中で見るのを止めようとは思いませんでした。しかし一方で、花婿・永澄君の態度には、なかなか共感が持てず、ストーリーそのものに、あまり深く入り込むこともなかったのです。「瀬戸の花嫁」という作品は、そのタイトルどおり、結婚を題材にしたストーリーになっているわけですが、途中までの展開のなかで、花婿・永澄君の花嫁・燦ちゃんに対する言動や態度から、あまり深い愛情を感じられず、少々残念な気がしていました。

そんな風に思いながら、ギャグを楽しみつつ見続けていたところ、ようやく最終話にかけてのクライマックスで、それが一変してくれました。燦ちゃんに対する永澄君の愛が爆発してくれて、私自身、やっと本当に「うん、見ていてよかった」という気持ちになれたのです。

一本の映画であれば、当たり前のことですが、こういう連続物の作品では、最後まで見続けるということが、なかなか難しかったりするものです。大体、どんな作品でも、最終回というのは、それなりにクライマックスとして盛り上がり、見る人に何らかのメッセージを与えるものではないかと思います。それだけに、最後まで見続けるということが、難しいことであると同時に、とても大切なことに思えてなりません。

そういう意味で、ギャグでも何でも、見続けられたことは良かったし(実際、ギャグも面白かったし)、最終26話までをキッチリ見ることができて、「瀬戸の花嫁」という一本の作品を、自分なりに気持ちよく消化できたように思います。

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