常識について思うこと

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目指すべき「強い円」

2010年01月07日 | 産業

財務大臣が交代になって、その大臣の最初の記者会見で、「円安期待」と取られる旨の発言があったという報道を目にしました。

-またやっちゃった・・・-

安易に自国通貨安を期待するのは、知恵や技術が枯渇し、価格でしか勝負できない人の発想です。製品やサービスの品質において、他とさしたる違いが見当たらず、いかに安く作れるかという労働集約型の競争を強いられているとき、円安が効くことは間違いありません。そしてまた、今日の日本産業が、そういう状況に陥りつつあることも理解いたします。しかし、ただそれを受け入れるだけでは、とても日本に未来があるとは思えません(「円安に期待するなかれ」参照)。単純な話、価格競争力だけを見て、人件費が安い諸外国に比べて、どれだけ戦えるかと言ったら、日本が圧倒的に不利になるであろうことは想像に難しくないはずです。

私としては、一国の財務大臣が「自国通貨が安くなることを願う」かのごとき発言をすることは、けっして許されないだろうと思います。今回の記者会見における大臣の発言は、正確に言うと、経済界の意見を代弁しているかたちになっているので、このあたりについて大臣なりの反論があるかもしれません。そういう意味で、今回の発言をもって、「大臣は無能だ」等と決め付けるつもりは毛頭ありません。しかし、自国通貨の為替水準に関する発言は、一国の大臣としての重みをもって、特に慎重を期されることを願うばかりです。

あらためて、ここで申し述べておきますが、「円安期待」というのは、「もはやわが国には、知恵も技術もありません」と言うに等しい、謂わば「白旗宣言」ではないかと考える次第です。そして私は、日本の実力がそんなものではないと信じています。

日本が世界のリーダーとしての役割を果たしていくためには、「強い円」でなければなりません(「世界のリーダーたるべき日本」参照)。強い通貨を持つことは、世界を牽引していく国の条件でもあると言えると思います。それはつまり、大きく「円高」に振れても、十分に世界に買ってもらえるだけの付加価値の高い製品やサービスを生み出していくことができる国であり、他国にはけっして真似できない知恵と技術が備わっていることの証でもあります。

簡単に白旗を揚げることなく、地道に「強い円」を実現できるように努力していくことこそが、これからの日本が進むべき道です。そして私としては、日本にはそれだけの実力があると信じ、また自分自身も、それを証明するための活動を進めていきたいと思っています。

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