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著作権弱者への配慮

2011年12月17日 | 産業

SOPA(Stop Online Piracy Act)が話題になっています。これは、オンライン海賊行為防止法と呼ばれるもので、海賊版のコンテンツやオンライン著作権侵害を勧めるような情報をアップすることができるサイトを訴えることができるというものです。これに対して、米国の主要なインターネットサービス会社が、軒j並み反対の意を唱えています。この反対は、ある意味とても自然です。

インターネットの本質は、誰もが発信できるところにあり、無数の人々が勝手気ままに情報をあげることができる仕組みにあります。近年、成長著しいFacebook、Twitter、Youtubeなどのサービスを思い返していただければ、その意味がはっきりするかもしれません。こうしたサービスでは、ユーザーが自由に情報をアップできる仕組みになっているため、SOPAのターゲットとしてひっかかってくる可能性があります。仮に、この法が成立したら、これまでのインターネットの利点が大きく損なわれかねません。

しかし、この展開は、自明の理だったとも言えます。。何故ならば、これまでのインターネットは、あまりにも著作権に対して無頓着だったからです。

これまで、メディアの王様はテレビでした。そのため、コンテンツの著作権は、テレビを中心にしたメディアのルールで守られてきました。そのルールで守られてきたコンテンツやコンテンツホルダーは、インターネット上でも、いわば守られることが約束されている「著作権強者」なわけです(「著作権強者」が、厳密な意味で守られているわけでなくても、インターネット事業者によって、いかに収益を上げさせるかという配慮がされてきました)。一方で、インターネットの本質は、誰もが参加できるところにあり、そのように守られることが約束されていないコンテンツやユーザーが中心になってきます。これらは、「著作権強者」という言葉に対して、「著作権弱者」とでも言えましょう。

本来、誰もが発信できることに、その本質があるインターネットを、健全なメディア、あるいは産業インフラとするのであるならば、こうした著作権弱者をこそどのように守るかという視点が抜けてはいけませんでした。言い方を変えると、インターネットでは、テレビとは違った独自の著作権ルールを、ゼロから作る必要があったということでしょう。しかし、既存のインターネット事業者は、こうしたことに十分な配慮をしていなかったのではないかと思います(「「才能の無駄遣い」の克服」参照)。

現在、メジャーとされる多くのインターネットサービスでは、数多くのユーザーから無数のコンテンツを集めておきながら、その著作権を尊重せず、それに対して報酬が支払われる仕組みなどを作ってはきませんでした。結局、そうしたサービス事業者では、集めたコンテンツによって、さらにユーザーを集め、スポンサーから広告料をとるといったことが中心になってしまっています。つまり、著作権弱者は、いつまでも弱者の立場に甘んじなければならない仕組みであるわけです。弱い人たちの著作権が尊重されず、既存の著作権強者にだけ気を使うインターネットは、ある意味、「弱い者イジメ」の仕組みとも言えるかもしれません。著作権弱者は、そうした著作権軽視の風潮のなかで生きていかざるを得ず、結果として、海賊版コンテンツや著作権侵害ということにも、サービス事業者同様、無頓着にならざるを得なかったということでしょう。そうしたなかで、著作権弱者に対して、一方的に「著作権の秩序を守れ」ということの方が酷のような気がします。

SOPAの背景には、そうした著作権弱者を軽視してきた、現状のインターネットシステムの問題がある気がしてなりません。したがって、この問題の解決には、著作権弱者にも、等しく著作権が守られる仕組み、それに対して報酬が支払われるルールを作り、それを適用していくことが肝要なのではないかと考えます。

まずは、私たちなりに、そうした新しいシステムの実現を進めていきます。

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