満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

坂田明+中島吏英ツアーin 大阪終了。

2020-01-30 | レヴュー
坂田明+中島吏英ツアーin 大阪終了。お客さん満員の中、先ずは盆と正月のパフォーマンスが開始。脱力感伴う狂気の世界は相変わらず。毎回、違う‘出し物’‘ネタ’を披露する事でマニアックな固定ファンもいる。次も見たくなるのは解る。今回はメンバー二人の動きは抑え気味で理解不能なコラージュビデオが巨大気味に映写され、バケツで雑巾を絞ったり、真顔で沈黙、静止したりする。映像の音、声が強迫観念じみた執拗さで反復され、二人のパフォーマンスよりも聴覚的に突き刺さる。全くなんじゃこれはという感じでさりげなく本領発揮。
2番目は私、Nobuhiro Okahashi (electronics) +田中康之 (per)のトリオ。3人でやるのは初めてだが、何とかなるだろうと楽観的に私がきっかけを作って先行して飛び出し、後は3人でいい流れを作って30分演奏。オカハシ氏のたおやかなアンビエントと田中氏のカホンの速いグルーヴはマッチすると思っていたので、それだけでも聴き応えあり。私は要所で場面転換するのが役割と自覚し、頃良いタイムでスタート/エンドを応酬した。
トリは坂田明 (sax) + 中島吏英 (sound performance)。坂田氏がチイーンと鳴らす鐘でスタート。中島氏が床に散乱する様々な道具(写真参照)を鳴らす中、坂田氏が朗々とサックスを響かせ、会場はシリアスな実験室と化す。中島氏、ゼンマイ仕掛けのミニ機械をクルクル回しっ放しにさせながら‘さて次何をしようか’と真剣な表情で繰り出していくその‘音遊び’がカッコいい。機械音、摩擦音、微音、転がる音、様々な物質音が奔放で勝手でありながら時に坂田氏のサックスとリンクし、音階的、リズム的に合致する瞬間があるのが不思議だ。
この時点でライブ的には中嶋氏の一挙手一投足にオーディエンスの耳目が集中されるが、そのレベルで終わらないのが御大の強みか、坂田氏がおもむろに始めるボイスパフォーマンスで空気が一変し、正に第二幕が明ける。坂田氏の抽象的、非-言語な唸り声により、会場の空気が支配されると中島氏もやや身体的なパフォーマンスも交え、更に坂田氏はゆっくりとしたテンポで「どなたかいらっしゃいますか・・・・泥棒ですけど・・・」、「さっちゃん」等のシュール朗読じみた独自の発声パフォーマンスを繰り広げ、そこに物語の転換を象徴するようなクラリネットのアクセントを加えていく。最後に「おしまい」。会場の拍手はアンコールの拍手だったが、二人のパフォーマンスは潔く、あっけなく終了。即興演奏、サウンドアート、パフォーマンス、インスタレーション、実験。一人芝居。そんな様々なジャンルを飛び越えたライブを見せてもらった。

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